引越しの「契約」は「契約」ではない
引越しの営業マンの中には、顧客を脅す・恐喝するようにして契約を取る者も存在します。そうした営業マンが自分の見積もり担当になってしまうと、「この人とは契約したくないのに…」と思いながらも、その場しのぎのために契約を結んでしまう方も多いです。
法的に「契約を結ぶ」ということは、商品購入の「約束」をするという意味であるため、契約を結んだ時点で破棄をすることができなくなる、もしくは契約破棄したいときには違約金を払う必要が出てきます。
引越しの営業マンから執拗に「契約」という言葉を使われると、「引越しのキャンセルはできないのではないか」「できてもキャンセル料を支払う必要があるのではないか」と考えてしまうでしょう。しかし引越しの契約はキャンセル料を払わずに簡単に行うことができます。
引越し業界で使われている「契約」と世間一般で使われている「契約」とは意味がまったく違います。引越し業者と法的な「契約」を結んでしまうと、以下のような条件となり、顧客側が極端に不利な状況となってしまいます。
- 引越し日が限定される
- 作業員の人数や作業時間、開始・終了時間が限定される
- 「①」の変更を客が依頼すると違約金が発生する
- 「②」の変更を会社が依頼すると違約金が発生する
以上のように、両者にとって(特に顧客側)不利な条件となり、サービスの円滑な運営に支障を来し、融通が利きづらくなります。そのため、引越し業者の「契約」とはあくまで「トラックと現場作業員の予約」という意味合いで使われ、原則無料でキャンセルをすることができます。
キャンセル料を支払わなければならないケース
引越しの契約キャンセルは常に無料ではありません。引越し業者では、引越しをおこなう際のルールとして約款を顧客に提示する義務があります。
約款中には、引越し業者で運べない家財や物損事故が起きた際の責任の所在についての他に、契約キャンセルについての記載もあります。
大手引越し業者でよく使われている約款は、標準引越運送約款というもので、「引越し日の前日もしくは当日にキャンセルを告知された場合は違約金を支払ってもらう」と記載されています。
そのため、標準引越運送約款を使用している引越し業者との契約を無料でキャンセルしたい場合、少なくとも引越し日の2日前までに引越し業者へ連絡するようにしましょう。
さらに、引越し業者によっては独自で定めた約款(独自約款)を利用している場合もあり、標準引越運送約款よりも早くキャンセル料が求められる場合もあります。引越しの契約をした際には、引越し業者がどの約款を利用しているのか営業マンに質問するとよいでしょう。
引越しの契約キャンセルを上手におこなう方法
引越しの契約キャンセル自体は簡単にできます。しかし、キャンセルしたい旨を自分の見積もりを担当した営業マンに伝えてはいけません。引越し営業マンの給与は売り上げの他に「契約率」も関わることが多く、中には「契約キャンセル一件につき給与から〇〇円天引き」としている引越し業者もあり、すんなりとキャンセルを受け入れてくれないことも多いのです。
そのため、引越しのキャンセルを申し出たいときは担当営業マンではなく、見積書に記載されている、あなたの引越しを担当する支社に直接電話をするようにしましょう。担当支社に連絡した際にも、「どうして引越しをキャンセルされるのですか?」と聞かれることになりますが、営業マンや引越し業者に気を使って「引越しが延期になりまして…」などと言うと、営業マンから「いつまで引越しが伸びるのか」等の連絡が入り、キャンセルをしてくれなくなるので、キャンセル理由は正直に述べるようにしましょう。
また、「担当営業マンからの電話は一切要らないので、キャンセルの処理だけきちんとやってください。」と伝えれば、営業マンからの執拗な連絡もなくなります。
質問があります。引っ越しが1月に控えています。引っ越し業者の契約が成約しています。しかし、引っ越しまで2ヵ月ほど猶予があり、その間に荷物の運搬が可能なので引っ越し業者を利用する必要性がないことに気づきました。引っ越し業者に頼むこと自体をキャンセルをしたいと考えています。
すでに資材を郵送されてしまい、使用していないのですが手元にある状態です。電話をいれたところ、2ヵ月も前に連絡したにも関わらず、キャンセルされると困ると言われ、キャンセルが出来ません。見積書も1月にならないと発送しないと言われてしまいました。どうすればいいでしょうか。