同じマンション内の引越しを業者に任せる人は多いの？
子供が大きくなり部屋がもう一つ必要になった、住んでみたら意外と狭くもうひとサイズ大きな部屋に変更したい、しかしマンションは気に入っており通学・通勤・ご近所付き合いなどは継続したい、など様々な理由で同じマンション内の引越しはかなり多くの数行われています。
自分にとってはレアケースと考えがちな引越しも、引越し業者にとってはほぼ毎日どこかで行われている「スタンダードな引越し」です。
そこで気になるのは「同じマンション内の移動なら引越し料金を安くすることができるのか？」ということですが、同じマンション内の引越しはかなりの確率で大幅な値引き交渉が可能となります。
同じ建物内であれば、自力で引越しをしてしまおうという方も一定数いますが、大きな家具・家電の搬送を自分でやるリスクを考えてみると現実的ではなく、タワーマンションや高級マンションなら規約上自分で引越しをすることが禁止されている場合もあり、引越し業者に作業を任せてしまう家庭は非常に多いのです。
同じマンション内の引越しが「激安」で契約できる理由
引越し業者ではこう言った作業を「同所移動」と呼び、顧客から見積もり依頼があれば我先に契約したいと奮起します。
なぜなら、同じマンション内の引越しであれば家財搬出後の移動時間は実質ゼロである点、どんなに家財が多くても使用するトラックを気にする必要はない点から、数ある引越し作業の中でも引越し業者としてのコストパフォーマンスが非常に高いからです。
また同所移動であれば渋滞や積み下ろしを加味しないため、大方の作業時間を計算することができます。例えば、短距離の引越しであれば1日に2〜3件が作業の限界ですが、同所移動があればそこにもう1件追加できます。つまり、作業員の1日あたりの単価を引き上げることができるのです。
従って、引越し業者によっては通常ありえない激安価格で請け負ってくれることがあります。
さらに相見積もりで競わせれば、人件費を完全に無視したような価格が提示され「本当にちゃんと作業してくれるのか」こちらが心配になってしまうことも。ただ上記の通り、安い理由を理解していれば安心して任せることができます。
さらに、トラックのコンテナ内で荷崩れが起きないように、搬出する家財の順番や積み方を気にする必要も一切ないため、引越し作業の難易度が比較的低いということも、引越し業者が同所移動を契約する魅力の一つです。
同じマンション内の引越しを引越し業者に任せる際の注意点
全体的に見れば、通常の引越しよりもリスクの少ない引越しである同所移動ですが、以下に挙げる注意点についてはあなたも確認しておく必要があります。
立ち合いは2人以上必要になる
同じマンション内の引越しということから、引越しの立ち合いを1人で済まそうとする家庭は多いです。実際1人でも立ち合いができないわけではないのですが、労力・作業時間を考えると最低2人は必要です。
なぜなら、同所移動の場合、現場作業員は現住所から搬出した家財をすぐ新居へ持っていこうとするため、1人で立ち合うということは現場作業員と共に何度も現住所と新居を行き来することになるからです。
また、同階内での移動でない限り、現場作業員も盗難を疑われないように新居か現住所かどちらか片方でしか作業できないため、同じ建物内の移動であっても通常の引越しと同じくらいの時間を要することになってしまいます。
そのため、現住所と新居の立ち合いを同時におこなうために立ち合い人は2人用意し、気持ちよく引越し作業ができる環境を作ってあげるのがベストです。
部屋が広くなる場合でも扉の大きさなどは把握しておく
部屋が広くなるといっても同じマンション内である以上、扉や玄関の大きさは変わらないというケースは結構多いです。
そのため、部屋の広さに合わせて家具を一回り大きいものに新調した結果、廊下を通らなかったり部屋に入らなかったりということも少なくありません。
このような不都合を防ぐために最も有効な手は、新居が同じ建物であるということを最大限活かして、見積もり時に引越しの営業マンに新居の間取りを実際に見てもらうことです。
営業マンと一緒に新居を確認すれば、あの大きさの家具は入る、その大きさの家具は入らないと、新居の幅に合う家具の大きさを具体的にしてくれます。そのため、引越しのプロの基準を基に家具の買い替えを進めていけるというわけです。
営業マンに新居を見てもらいたいという場合は、見積もりの予約を取る際にその旨を引越し業者に伝えておくと、引越し業者の方で新居確認の時間を工面してくれるので、ゆっくりと営業マンに新居を見てもらうことができます。
マンションの管理人へ引越し作業の報告をしておく
同所移動であったとしても、引越し業者に任せるということに変わりはないため、引越しする際の建物との約束（マンション管理規約）は守らなければいけません。
管理人へ引越し日と引越し業者の到着予定時間を伝えたり、引越しをいつ行うか連絡を取り合う必要があるのです。例えばGMやコンシェルジュ、警備員が常駐しているような都心のハイタワーマンションであれば問題ありませんが、郊外のマンションの場合は土日祝日は管理人が休みを取っている場合があります。
これは通常の引越し時にも言えることですが、タワーマンションなどの管理の厳しい建物では管理人への事前連絡をし忘れただけで引越しをやらせてもらえない場合があります。トラックを駐車するための裏の搬入口に鍵がかかっていたりするからです。「幹事会社」と言って、そのマンションの引越し業者が指定されている場合もあります。
同所移動はトラックの大きさは関係ないのですが、当日他の引越しのために大きいトラックを用意していた場合、道路に堂々と駐車させるわけにはいきません。また引越しに際する道具を取りに行くために、トラックとマンション内を意外と頻繁に行き来するため、搬入口の警備を管理人に任せておく必要があるのです。
営業マンの提示価格に騙されない（同所移動は「必ず」安い）
同じマンション内の引越し、最後の注意点は、営業マンの出し値に騙されてはいけないということです。
同所移動の見積もりにおける営業マンは、引越し料金の値引き交渉に移ると「運んでいる家財量はどこに行くのでも変わらないので、同じマンションだからといって料金に差は付けられません」とあなたを騙してくることが多いですが、これは営業マンが値引きを拒否するのに正当性をつけるための常套句です。
繰り返しになりますが、同所移動は引越し業者にとって非常に簡単な引越しで相場は「必ず安い」です。
私の経験として、同所移動における上司の値引き妥協ラインは通常の引越しに比べてかなり低いため、家財量ではなく作業時間を値引き交渉の材料にすれば、3～4月の繁忙期でなければ意外にあっさりと値引きをしてくれます。
あなたが「引越し作業開始時間は気にしないからもっと値引きしてほしい」と言えば、午後便・午前フリー便（大体14時までに作業員が到着して作業開始となる便）での案内を求めてみましょう。
引越し業者にとって同所移動とは、新居までの移動時間を考慮せずに作業工程を組むことができる「時間計算ができる引越し」であるため、家財量が多少多くても午後便や午前フリー便として差し込みやすい引越しなのです。
そのため、本来であれば午後便で案内できないような3人家族以上の家財量がある引越しであっても、交渉次第では午後便・午前フリー便で案内してくれることもあります。
何度もしつこいようですが、同じマンション内の引越し（同所移動）はどの引越し業者も是が非でも取りたい案件です。特に毎日の作業件数が多い「大手引越し業者」が激安で契約してくれる唯一の事例と言ってもいいでしょう。激安で、かつ大手に頼みたい場合は相見積もりを取って競わせると非常に有効です。
