全国には引越し業者が大小合わせて4000社あると言われているのですが、引越し業者すべてが引越しを主な業務(引越専業)としておこなっているとは限りません。中でも、宅配業大手のクロネコヤマトが運営している「ヤマトホームコンビニエンス」は、引越し兼業でありながら、2018年オリコン引越しランキングで総合4位と、目まぐるしい成長を遂げています。
しかし、引越し業界について何も知らない人からすれば、「宅配業の人が引越しに携わっているのだから、作業は雑なのではないか」と気になるところです。そこで、今回はクロネコヤマトが展開する引越しサービス、ヤマトホームコンビニエンスについて紹介していきたいと思います。
ヤマトホームコンビニエンスってどんな会社?
ヤマトホームコンビニエンスは、宅配業大手であるクロネコヤマトを大元とする引越し業者ですが、元々は小売業者大手の丸井とクロネコヤマトが資本提携し、丸井が経営していた「株式会社ムービング」という宅配会社をクロネコヤマトの傘下に入れることで結成された引越し業者です。
宅配業+宅配業で構成された引越し業者ということで、印象だけで言えば「家財を宅急便のような扱いをするのではないか」と懸念してしまいますが、そこは大手ということで、他の引越し業者と同じように梱包してくれます。
現に、2018年オリコン引越しランキングでは総合で4位と高水準であり、数年後にはトップ3に入るのではないかと元引越し営業マンである私は考えています。そんなヤマトホームコンビニエンスの強みは以下のようになります。
①ヤマトホームコンビニエンスは単身引越しに強い!
ヤマトホームコンビニエンスは家族引越しも取り扱いはしているのですが、実は最も強いのは単身引越しであると言われています。なぜなら、ヤマトホームコンビニエンスの単身引越しには「単身パック」という定額プランがあるからです。
引越専業の業者にも「単身パック」と銘打っているプランは存在しますが、大体は定額制ではなく、営業マンが出し値を提示したときに「今回は単身パックでお申込みしていただいたので、あらかじめ値引きしてあるんですよ。」などと、値引きをしていないのにあたかも値引きしたような素振りを見せるための見せかけであることが多いです。
しかし、ヤマトホームコンビニエンスの単身パックは、あらかじめホームページで「長距離引越しでない限り、かご台車1台につき12000円」と料金が公表されていますので、安心して利用をすることができます。
もちろん、家財の量が多ければそれだけ引越し料金も上がることは事実ですが、あらかじめ料金が公表されているということは、際立ったボッタクリをされることはまずないということを意味します。
ただし、単身パックを利用する上では注意点もございますので、詳しくは下記記事をご参照ください。
②ヤマトホームコンビニエンスは重量物を自社で運ぶ
ヤマトホームコンビニエンスでは重量物の移送も自社でおこなってくれます。多くの引越し業者でも、ホームページ上では「ピアノの搬送は自社でおこないます」としていますが、実際は別業者に委託しますし、料金についても見積もり時に営業マンから伝えられるため、その料金が適正なのかが分かりません。
しかし、ヤマトホームコンビニエンスはバイク・自動車の移送料をあらかじめホームページ上で検索することができるため、引越しをする前から予算が立てやすく、営業マンからボッタクられることは一切ありません。
そして、普通の引越し業者なら取扱い自体をしていなく、手配自体も面倒なピアノの処分についても、ヤマトホームコンビニエンスなら取り扱いをしていますし、状態が良ければ処分ではなく買い取りもしてくれるほどです。
さらに、普通の引越し業者なら移送を確実に断られるペットの移送についても、ヤマトホームコンビニエンスでは取り扱っているため、ペットを飼っているが自家用車を持っていなく、新居まで電車で移動しなければいけないという人にはおすすめの引越し業者であると言えるのです。これらは宅配業者ゆえの最大の特徴と言えるでしょう。
【参考】2021年オリコン引越しランキング有名どころ5社比較表
引越し業者 | 総合 | 作業内容 | コスパ | 営業対応 |
ヤマトホームコンビニエンス | 4位 | 4位 | 2位 | 2位 |
アート引越センター | 1位 | 3位 | 6位 | 1位 |
サカイ引越センター | 3位 | 2位 | 8位 | 5位 |
アリさんマークの引越社 | 7位 | 8位 | 10位 | 7位 |
日本通運 | 5位 | 5位 | 9位 | 4位 |
ヤマトホームコンビニエンスで見積もりを取る際の注意点
幅広く他の引越し業者に比べて自社でまかなえる作業が多いヤマトホームコンビニエンスですが、あくまで「クロネコヤマト系列の引越し業者」であるため、引越しに関するノウハウや歴史についてはアート引越センターやサカイ引越センターに劣ります。
またいつ何時も、どんな見積もりの予約の仕方をしても来てくれるわけではありません。
①ヤマトホームコンビニエンスは引越し見積もりサイトからでは予約しづらい
まず、ヤマトホームコンビニエンスは引越し侍などの引越し見積もりサイトから予約をすることが難しいです。そのため、ヤマトホームコンビニエンスの見積もりを取りたい場合はホームぺージから自分で見積もり予約を取らなければいけません。
それを知らない人がとても多いため、ヤマトホームコンビニエンスで見積もりを取っている人はとても少なく、引越し業者に勤めていたときは毎日見積もりに伺っていた私でも、ヤマトホームコンビニエンスの営業マンがいたり、見積書が置いてあったりすると「うわっ、珍しい!」と思うほどには珍しかったです。
単身者であれば、引越し見積もりサイト経由でも見積もり予約を取れることがありますが、家族引越しともなれば、繁忙期でない限りまず候補に挙がってくることはありませんので、ヤマトホームコンビニエンスで見積もりを取りたいという人は必ずホームページから見積もり予約を取るようにしましょう。
②ヤマトホームコンビニエンスは値引き交渉をしてくれないことが多い
ヤマトホームコンビニエンスの営業マンは、中々値引き交渉には応じてくれません。なぜなら、単身パックであれば最初から定額制であるため値引きの余地はありませんし、家族引越しであっても極端な値引きをするくらいなら別の業務にトラックを回した方がよいからです。
基本的に引越専業でない会社というものは、引越し以外にも業務が存在することもあり、過度な値引きは応じてもらいにくい特徴があります。相場よりもガッツリと値引きをしたいというのであれば、ヤマトホームコンビニエンスだけではなく引越専業の引越し業者を見積もりに呼ぶべきであると言えるでしょう。
ヤマトホームコンビニエンスの見積もりを取るなら他業者の見積もりも取った方がよい
以上の点をまとめると、ヤマトホームコンビニエンスとはこんな会社であるとまとめられます。
- 単身者の引越しに強い(単身パック)
- 自社でおこなっているサービスが豊富なため安心度が高い
- 引越し見積もりサイトを利用しての見積もり予約は取りづらい
- 値引き交渉的には他の引越し業者よりも渋い
ヤマトホームコンビニエンスは値引き交渉に対してあまり良い印象はないのですが、それは出し値が他の引越し業者よりも安いからということも挙げられます。値引き交渉をしながら少しでも引越し料金を高くもらう営業をするというよりは、最初から適正額を提示して無理な値引きもすることはない、というのがヤマトホームコンビニエンスの営業マンの特徴です。
そのため、ヤマトホームコンビニエンスが提示してきた引越し料金が高いと思った人は、そこで値引き交渉をするよりも他業者の見積もりを取って比較してみるということをおすすめします。
もしかしたら、他の業者がヤマトホームコンビニエンスの見積書を見て、「ヤマトさん安いですねぇ。うちはそれではできません。」と言ってくるかもしれませんし、「ヤマトさんは引越兼業ですよね。うちは引越専業なので、もっと安い価格でやりますよ!」と言ってくるかもしれません。
引越しの見積もりは、相見積もりを取らないと適正価格というものが分かりません。毎年同じ時期に同じ家財量の引越しをしたとしても、万単位で提示額が変わるなんてことはざらにあるのです。
そのため、ヤマトホームコンビニエンスで見積もりを取りたいと思っている人は、ヤマトホームコンビニエンスのホームページから見積もり予約を取りつつも、引越し見積もりサイトで他業者の見積もり予約も取るようにしましょう。
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