中小引越し業者の危険性
引越し見積もりサイトに登録して相見積もりを取ると、大小さまざまな業者から見積もり依頼が来ることになります。せっかくだからと依頼が来た業者すべての見積もりを取ってみて、大手業者の後に中小の提示額を見ると、「さっきまでの料金はボッタクリだったの!?」と思うほどの料金差に驚愕します。
自宅から新居までの距離が近ければ近いほど、大きなトラブルが起きるとは考えづらいため、普通に考えればコスト重視で中小を選んだ方がよいと言えるのですが、実際はそんなに甘くありません。ここでは表面的な引越し料金以外のことに関する、大手と中小の違いについて比較していきます。
引越し業者:大手と中小の違い
保証面の手厚さ
大手引越し業者は「引越しのルール」として、標準引越運送約款を使用しています。標準引越運送約款は国土交通省が定めているものであるため、どちらかに損得を及ぼすものではありません。状況に応じてどちらかが責任を取るようにできているので、トラブルが起きたときも心配する必要がありません。
(アート引越センターの標準引越運送約款)
しかし、中小引越し業者の場合は、標準引越運送約款ではなく会社独自に定めた独自約款を利用していることが多いため、業者が有利になる、つまりあなた(顧客)が損をするルール制定となっている場合が考えられるのです。
基本的に独自約款を利用している業者とは契約しないことをおすすめします。
無料サービス・追加料金
大手引越し業者では、引越しに際し当然使用する「ダンボール」を基本無料でサービスしてくれます。しかし、中小引越し業者はダンボール一枚目から有料である場合が多いです。
また、当日追加料金についても、大手引越し業者に任せれば営業マンがミスをしない限り請求されることはありません。しかし、中小引越し業者に任せた場合は、当日追加料金を作業員がポケットすることも多く、何かと因縁をつけて追加料金を請求してくることがあります。
さらに、トラックのコンテナに余裕があれば、大手業者なら「余裕があるので持っていきますよ!」と気さくに対応してくれますが、中小業者の場合は上記の通り「では追加料金です。」と言ってくることの方が多いです。
見積もり時の提示料金は大手より安いものの、結果的には大手と変わらない、あるいは大手より高くついてしまうことの方が多くなります。見積もり料金のまま引越しを完了させることの方が困難でしょう。
ホスピタリティ
大手の引越し作業員は、現場作業をおこなう前に必ずホスピタリティ研修を受けているため、対応にブレがなく良い意味で「マニュアル通り」対応してもらえます。中小引越し業者の作業員のホスピタリティが悪い、という意味ではありませんが、中小の場合は作業員によって対応が全く異なったり、トラブルにも対応できないなどの注意点があります。
さらに大手引越し業者の一つであるアート引越センターには、女性作業員のみで引越しをおこなう「レディースパック」もあるため、男性が自宅に大勢入ってくるのが怖いといった小さい声にも対応してくれます。こうした辺りは、中小引越し業者が真似できないポイントでしょう。
引越しを安心・安全に済ませたいなら大手に依頼
大手引越し業者と中小引越し業者の違いは明確ですが、これらはすべて何かトラブルが起きた際に分かるものであり、特にトラブルが起こらずに完了した場合は大手と中小に違いは一切なく、安かろう悪かろうとは言い切れないのが現状です。また「中小引越し業者」とは、アート引越センター・サカイ引越センター・日通・ヤマトホームコンビニエンスといった数えられる大手引越し業者“以外”を指すため、それを除いた日本全国約4000社ある引越し業者の全てがこれに当てはまるわけではありません。
時と場合によっては、中小引越し業者と契約しても大手並みに対応がよくて作業スピードも早い現場作業員が、大手に任せたら絶対出してもらえないような激安価格で来たという例もあります。
しかしそれはあくまで結果論。中小引越し業者にそうした現場作業員がたくさんいるかと言えばそうでもなく、友人から「中小でも良い作業してもらえたよ」と聞くこともあるかもしれませんが、引越し営業マンとしての私の経験則上、大手引越し業者ならそれが「普通レベル」の作業であることの方が多いです。
さらに言えば、中小引越し業者でトラブルが起きた場合は基本対応してくれないことばかりなわけですから、私としては中小引越し業者に任せてギャンブルするよりも、安定の大手引越し業者に任せた方がよいと考えています。また、一括見積もりについてもそれを踏まえた検討が可能となるため、料金・サービス・大手or中小の比較を慎重に行うべきでしょう。