新居でバルサンを焚く危険性と効果~幼児やペットに害を及ぼす「フェノトリン」とは

新居でバルサンを使う注意点
ちはる
新居にゴキブリが出たら嫌なので、バルサンを焚こうかと考えています。新居でバルサンを焚く上で、何か注意点はあるでしょうか。
のぼる店員
新居でバルサンを焚く場合、タイミングとしては引越し前に焚きましょう。バルサンには「フェノトリン」と呼ばれる赤ちゃんやペットに害のある成分も含まれていますので、妊婦の方やペットを飼っている家庭では、バルサン以外の対処方法を考えた方がよいかもしれません。

バルサンが人体に与える毒性・害

出典:バルサン

「新居」に引越しをしたにも関わらず、ゴキブリやノミなどの害虫被害に遭うのは誰でも嫌なものです。ゴキブリが出るたびに駆除するというのは、とても面倒であるため、バルサンなどの燻煙剤型の殺虫剤を使うこともあると思います。

燻煙剤型の殺虫剤を使う際に1番気になるのは「危険性は本当にないのだろうか?」ということではないでしょうか。バルサンの公式サイトによれば、使用方法に従って正しく使用すれば、人体・ペット・電化製品などに害を及ぼすことはないとしていますが、決して鵜呑みにしてはいけません。

そもそも本当に「人畜無害」であるならば、なぜ燻煙中は家の中に居てはいけないのでしょうか?それは、燻煙剤の中に「吸い込んではいけない」何かを使っているからです。

事実、バルサンの燻煙剤の成分の中には、乳幼児やペットが絶対に取り込んではいけない成分が1つ入っています。それがフェノトリンと呼ばれる殺虫成分です。

バルサンの殺虫成分「フェノトリン」ってどんな成分?

フェノトリンは、除虫菊の成分を化学合成して生まれたピレスロイド系殺虫剤と呼ばれる殺虫剤の一種。使用用途・効果としては、ダニが皮膚に寄生することでかゆみや発疹を引き起こす疥癬という病気の原因(ダニ)を殺すことが挙げられます。

フェノトリンはダニだけではなくゴキブリにも作用する神経毒剤で、フェノトリンがゴキブリやダニの体内に入ると、体を正常に動かすために必要不可欠である神経伝達シグナルの1つであるNaチャンネルに作用して、対象の虫を常時興奮状態にさせることで害虫を死に至らしめる薬剤です。

即効性に優れる点や残効性の高さ、太陽光に当たれば分解されやすいものが多いため、毒性は低いということで知られています。害虫駆除業者もよく使用している殺虫成分です。

フェノトリンが人体に与える毒性・害

フェノトリンが体に触れたり体内に入ることで起こる毒性・害は以下の通りです。

皮膚症状

フェノトリンが皮膚に触れると、皮膚炎・あかぎれ(皮膚亀裂)・水疱・末梢性浮腫(むくみ)を引き起こす場合があります。

末梢神経症状

フェノトリンは神経細胞に作用する薬剤です。そのため、虫だけではなく動物に対しても痙攣などを引き起こす場合があります。一例としては「フェノトリンを摂取」したことが原因で起きる、痙攣による呼吸停止で猫が死亡しています。

肝機能異常

フェノトリンが作用することで異常が起きるのは末梢神経だけではありません。フェノトリンが体内に入ると、肝臓の酵素の内、アミノ酸代謝やエネルギー代謝の過程で重要な働きを及ぼすASTやALTが血中に漏れ出す可能性も考えられるため、危険です。

のぼる店員
これらの症状は、比較的大人よりも免疫力の低い幼児や小動物が引き起こしやすいです。そのため、家庭によってはバルサンの使用は控えるべきであると言えるでしょう。

バルサンの使用を控えた方がよい家庭のケース

犬・猫・ウサギなどの哺乳類を飼っている家庭

フェノトリンを摂取したことで、猫が死亡したという事例も挙がっています。アメリカ環境保護庁は2002年12月に、Hartz社という会社が販売する猫・子猫用ダニ・ノミ取り首輪のリコールを言い渡しています。

この首輪にはフェノトリンが含まれており、首輪をなめてしまった猫は、皮膚の炎症や脱毛、痙攣といった症状により死亡したためのリコールであったとされています。アメリカのケースは猫用のノミ取り首輪で起きた事故であったため、「猫に対して毒性は高い」とされていますが、犬に対しても同様の作用を引き起こします。

バルサンは首輪と違って、常に身に付けているものではないので首輪に比べれば安心だと思うかもしれませんが、それは違います。犬や猫が普段触れている床にフェノトリンが残留していた場合、毛づくろいや足をなめる行為によってフェノトリンが体内に入ってしまうかもしれないからです。また、猫を飼っている場合は猫タワーを置いた状態でバルサンを焚けば、猫タワーにもフェノトリンが残留する可能性があります。

もし、ペットを飼っている家庭でバルサンを焚きたいという場合は、絶対にペットも一緒に外へ避難させて、使用後は換気と共に、フェノトリンを分解できる「太陽光」が届く・届かない関係なしに、バルサンをかけた部屋の床や家具を乾拭きしてからペットを部屋に入れるようにしましょう。

参照:http://www.peteducation.com/ (英語)

乳幼児・妊婦が居る家庭

眠っている赤ちゃん

フェノトリンはスミスリンという別名で、疥癬用の薬として処方されたり、シラミ取りシャンプーとして市販されています。もしかしたら、子供用のシラミ取りシャンプーの名前として、聞いたことがある人もいるかもしれません。

「危篤な副作用はない」とされているスミスリンですが、実はクラシエ製薬のスミスリンローションの注意書きには妊婦・新生児~幼児に対する使用経験はなく、安全が確立していない。妊婦がやむを得ず使用した場合は授乳を控えることとされています。

フェノトリンローション(スミスリン)の妊婦・授乳婦等への注意文

クラシエ薬品・クラシエ製薬

使用経験がないという理由については、免疫力が低く、大人以上に影響を受けやすい赤ちゃんや小さい子供には、スミスリン(フェノトリン)が害を及ぼす可能性が高いという理由から、実験ができなかったからではないでしょうか。

製薬会社が妊婦・新生児~幼児に対して実験をおこなえなかったのであれば、一般の妊婦や子供のいる家庭で使用するのは非常に危険です。

何より残効性が高いということは「フェノトリンは残留しやすい」と言い換えることもでき、赤ちゃんがハイハイした手をなめることは多いということからも、上記に当てはまる家庭ではバルサンの使用は控えるべきでしょう。

カブトムシ・クワガタなどの昆虫・爬虫類

フェノトリンは「殺虫」成分です。バルサンにはフェノトリン以外の殺虫成分も含まれているため、ゴキブリやノミ・ダニだけでなくほぼすべての虫に対して有害であり、避難させなければ全滅は免れないでしょう。

部屋内で大規模な繁殖をおこなっている(鈴虫など)、大きなクリアケースで飼っているという場合は、フェノトリンが残留する可能性や、ケースを避難させておくことの難しさから、バルサンのみならず殺虫剤の使用をおすすめできません。

また、バルサンは虫だけではなく爬虫類についても毒性があります。蛇やトカゲを飼っている場合、そもそも外に出すという行為が大変苦労であるため、爬虫類を飼っている場合にはバルサンは適さないと言えるでしょう。

虫の入っているケースを外に出すことができる場合も、一緒に移動がしやすい哺乳類と違い、玄関前へ置いておくことになるでしょうから、どうしてもバルサンを使用したい場合は、逃げ出さないよう蓋をしっかりと締めるなどの対策は忘れないようにしてください。

海水魚・熱帯魚・アクアリウム

アクアリウム水槽

フェノトリンは、虫だけではなく魚に対しても強い毒性を発揮します。海水魚・淡水魚問わず、魚の入っている水槽のある部屋でバルサンを焚けば間違いなく全滅するでしょう。

水槽が移動させやすいものであれば、バルサンが届かないところまで水槽を避難させることができるでしょうが、大型水槽、オーバーフロー水槽の場合はそれが難しく、バルサンが焚ける状況を作り出すのは難しいと言えるでしょう。

どうしても新居でバルサンを焚きたい場合

健康被害も嫌ですが、ゴキブリがしょっちゅう家の中を走っているのも耐えられない、どうしてもバルサンを焚きたいという方は、以下の注意点を守って行いましょう。

  1. 食器棚に入っている食器に薬剤が残らないように内側からビニール袋で覆う
    床や家具と同様、食器にも薬剤が残留する場合があるため、食器をビニール袋などで覆い、薬剤が触れないようにしましょう。
  2. テレビなどの精密機械がある部屋で焚く場合は精密機械をビニール袋で覆う
    テレビやパソコンなどの精密機械を保護せずにバルサンを焚いてしまうと、機械が故障してしまう場合があります。機械に対しても薬剤が触れないように保護するべきでしょう。
  3. 冷蔵庫自体は故障しないが念のため食材は抜いておく
    他の精密機械と違い、冷蔵庫がバルサンによって壊れるということはありませんが、薬剤が冷蔵庫内に侵入する場合があるため、野菜などの「保護されていない食品については冷蔵庫内にはない方がよいと言えるでしょう。
  4. 30分以上換気をする
    バルサンの使用上の注意でも、30分以上換気してから生活を開始するようにとなっているので、30分以上は換気するようにしましょう。また、換気だけではなく部屋内を軽く濡らした雑巾などで隈なく拭くことも大事です。

バルサンを新居で焚く場合は引越し前に焚く

サカイ引越センターのトラック

以上のことから、人がすでに住んでいる状態でバルサンを焚くというのは、健康被害のリスクが高いように思えます。仮に家族が健康被害にあうことになったとしても、注意書きには「人体に使用しないでください」と書いてあるため、補償してもらえるかどうかは分かりません。

もちろんバルサンを使っても健康被害が起きないで済む可能性もありますが、換気をしても床に残留する可能性があることを考えると、両手離しで安心することはできません。

もし、新居でバルサンを使いたいということであれば、引越し日よりも前に新居の鍵をもらい、引越し前にバルサンを焚いてしまうことをおすすめします。引越し前であれば、家具にフェノトリンが残留する恐れはありませんし、床の乾拭きなども非常にやりやすいからです。

また、引越し前なら厚いカーテンなどもまだついていない状況でしょうから、引越し日まで部屋内に太陽光をいっぱい入れることができます。

また、引越し業者の中には、新居での害虫駆除やフロアクリーニングをオプションサービスとして用意しているところもあるため、それらを利用するというのも1つの手です。

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