なお「1円でも安く引越ししたい」という場合は、相見積もりを取得し事情を話すと「格安で」引越しすることができることもあります。
新築マンションの「幹事会社」って何?
高層マンションに限らず「マンションが建つ」ということは、そこへ入居するための引越しが溢れかえるということです。1つのマンションへの引越しを一切管理せずにおこなうとなると、引越し渋滞や膨大な騒音により、マンション自体への苦情が殺到してしまいます。
そこで、マンション側はトラブルを避けるために、引越しが集中するであろう期間中(一斉入居)、新築マンションへの引越しを管理する引越し業者、通称「幹事会社」を設けることが多いです。
新築マンションの引越しを管理しているだけあって、「新築マンションへの引越しは幹事会社に任せるように」と説明会などで促されます。場合によっては、幹事会社以外の引越し業者の使用を禁止されていることもありますが、大半は努力義務でありどんな引越し業者を使おうと自由です。
しかし、新築マンションへの引越しで幹事会社を使うメリットは非常に大きいので、こだわりがない限りは幹事会社を使った方がよいと言えるでしょう。
新築マンションへの引越しを幹事会社に任せるメリット
引越し料金をボッタクられない
新築マンションへの引越しを、幹事会社に任せる人が多いということは、近所の間で引越し料金についての話が出ることが予想されます。
使ったトラックや移動距離などの引越し条件がほぼ同じで、2世帯とも幹事会社を使っているにも関わらず、引越し料金に万単位の差が生まれてしまってはおかしいとなってしまいます。こういったことを未然に防ぐため、幹事会社では車両に合わせた引越し料金を最初から設定していて、費用が大幅に変動しないようにしています。
もちろん幹事会社を利用しても、多少の値引きをすることもできますが、その場合は「近所の方には『〇〇万円だった』と言って下さいね!本当は値引きしちゃいけないので…。」と必ず言われます。
幹事会社の設定料金は、相見積もりをしても出ないような破格の料金であることも多いため、基本的に相見積もりを取ることはありません。
新築マンションの構造や付近の状況を熟知している
マンション側が幹事会社を設けるということは、マンションの構造が複雑であったり、トラックを置いておくスペースが少なかったりと、マンションへの引越し条件が悪い場合が多いです。さらに新築マンションですと、どんな引越し業者に任せてもマンションの構造や引越しをするためのルールについての経験値はゼロなのです。
もちろん幹事会社が管理しているため、他業者が来たとしても管理人さんなどが説明をしますが、マニュアルが頭に入っているわけではないため、不安は残ります。
しかし、幹事会社については、マンション側から見取り図を渡されていますし、そもそも幹事会社が引越しのルールを決めている張本人です。
たとえ幹事を直接担当する支社を利用しなくても、会社規模で新築マンションへの引越し情報は通達されているため、幹事会社を利用すれば引越し作業についての心配はほぼないと言っても過言ではありません。
待機している作業員が手伝ってくれる
新築マンションへの引越し、一斉入居の多くは、以下のような管理がされています(例)。
8~10時 | 10~12時 | 13~15時 | 15~17時 | |
12/1 | 201号 佐藤様 新宿支社 |
501号 田中様 他社 |
304号 鈴木様 池袋支社 |
1012号 佐々木様 池袋支社 |
このように時間によって区切られているため、幹事会社以外の引越し業者を利用している10時~12時で予約した方は、12時までに引越し作業を終わらせないといけない決まりとなっています。仮に12時を過ぎた場合、幹事会社の最終作業が終わる17時まで作業を中断・待機しなければならない可能性もあります。
もし幹事会社を使っている場合、早めに到着した他支社の同僚が引越し作業を手伝ってくれたり、その他の融通が利きやすいメリットがあります。図でいうと、13時~15時の引越しを、15時~17時の引越しを担当している作業員が手伝うといったような感じです。
幹事会社は、他業者に大してあからさまに強く当たるということはありませんが、引越しのやり方が微妙に違う以上、手伝うことは難しいですし、ルールを設定している以上守ってもらわねばなりません。つまり、幹事会社以外の業者を利用すると、窮屈な思いをする可能性は高いのです。
新築マンションへの一斉入居は基本的に幹事会社を利用
確かに、幹事会社の訪問見積もりを取った後、その見積書を使って他の引越し業者と交渉をすれば、幹事会社の提示した料金よりも安く引越しできる可能性はあります。
しかし、幹事会社を使わずに他業者を使って引越しをする場合は、あなたから新築マンションの構造や引越しに際してのルール、時間枠の厳守の説明、使用できる車両の大きさの限界に至るまで細かく説明しなければいけません。
もし説明が不十分であった場合、たとえ新築マンションへ到着しても引越しをさせてもらえない可能性も出てきます。引越しのルールを破れば引越しできないのは幹事会社も同じですが、耳にタコができるほど通達され、会社全体で何度も確認する情報ですから、リスクに関してはほぼゼロと言ってよいでしょう。
新築マンションへの引越しで幹事会社が設けられている場合、他業者を使うのはかなりリスクが高いです。特にこだわりがないというのであれば、見積もりは幹事会社1社のみでよいと言えるでしょう。