なぜ引越しの現場作業員を手伝ってはいけないの?
引越し作業中に現場作業員が一生懸命自分たちの家財を運んでくれていると、「悪い気がする」「手伝ってあげたい」、そうした心優しいお客さまと出会うこともしばしば起こります。確かに現場作業員側からしても、そういった気持ち自体は嬉しいのですが、それでも引越し作業を手伝ってはいけません。
「手伝う」という言葉を使うと、何だかいいことをしているように感じるものですが、引越し作業については手伝っても「邪魔している」という意味の方が強くなってしまいます。ここではあなたが引越しの現場作業を手伝ってしまうことによって起こる、具体的な弊害とその実例をまとめます。
引越しの作業時間が伸びてしまう
「素人であっても引越し作業を手伝えば作業時間も短くなるだろう」と考えている人が多いのですが、これは間違いです。なぜなら、引越し業者のタイミングで家財を積み降ろせなくなるからです。
確かにダンボールであれば素人でも簡単に運ぶことはできますが、引越しの現場作業員は状況に応じて大型家財を運び出さないといけないため、手伝っているうちに必ず邪魔になるタイミングが出てきます。
また、「ダンボールを運び終えたら捌ければいいのではないか」と考える方もいるでしょうが、種類順に家財を積み降ろしているわけではない点、ダンボールも台車に乗せて運ばなければいけないことが出てくる点などを考えると非常に効率が悪く、手伝わない方が早いという現象が起きてしまいます。
トラブルが起きたときに対応しづらい
現場作業員しか引越し作業をしていない場合、「引越し時に起きたトラブルはすべて引越し業者が悪い」と説明できるため、余程のことがない限り責任の所在で悩むことはありませんが、あなたが作業を手伝ってしまうとそうはいきません。
例えば、引越し完了後にダンボールを数えてみたらその数が少なかったという場合、ダンボールを運ぶ作業を手伝ってしまっていたあなたに責任が転嫁されることもあります。
さらに大型家財の搬出入を手伝ってしまえば、新居に傷がついたとしても「家財を運ぶ作業を手伝ったそうですね?自分で傷つけたのでは?」などとあらぬ罪を着せられることになります。
「私が運んだ家財でついた傷ではない!」と抗議しても、現場作業員が責任逃れで嘘をつくことも多いので、その場の状況を動画などの証拠として提出しない限り誠実な対応をしてくれません。仮にその状況で現場作業員と話し合ったとしても、水掛け論にしかならないでしょう。
【手伝わない=何しててもいい】というわけではない
以上の点から、どんなにあなたが作業を手伝いたい気持ちがあっても現場作業員を手伝う必要はありません。
しかし、「一生懸命頑張っているから何かしてあげたい」という気持ちはとても嬉しいです。そのため、もし気が乗ったら飲み物の差し入れや祝儀といった“形”でその気持ちを表現してあげた方が、現場作業員のやる気を高めることができるでしょう。
また、引越し作業を手伝わなくていいからと言って、引越し作業中何しててもいいというわけではありません。作業中の顧客の態度が、現場作業員の気持ちを逆なでしてやる気をなくすと言った話は現場作業員からよく聞きます。私が現場作業員から聞いた中では、以下のような行動を取るとやる気をなくすと言っていました。
- 現場作業員の問いかけに一切答えずスマホばかりいじっている(学生に多い)
- 作業中食事を取り始める
- 友人との話に夢中になり、確認が必要な時にも対応してくれない
- 対応を求めると嫌な顔をされる
もちろんお客さまとしてはお金を払う対価として「引越し」というサービスを享受しているわけですが、現場作業員も人間であり、目の前でどんな失礼なことをしても良いということではありません。
もちろん、有事の連絡が必要なときにも携帯をいじるなということではありませんが、引越し中はできるだけスマホアプリで遊んだり、話に夢中になったりせずに引越し作業を見ていてもらいたいのです。それはどんな作業をしているか見てほしいというよりも、物損事故や盗難が起きないかどうか「見張っていてほしい」という意味合いが強いです。
あなたが実際に現場作業員が家財を壊したり家屋を傷つけているところを見ていれば、作業後のトラブル対応はびっくりするほど早く進みます。しかし、あなたが見ていなければ事実をうやむやにされて対応してもらえなくなる可能性が出てきます。あなたと作業員両方が気持ちよく引越し作業を終わらせるためにも、現場作業は手伝わずしっかりと作業を見てください。