今回は「引越し費用を浮かせるために自分で引越し作業をしたい」と友人のしょう君から相談を受けたため、私が準備段階から実際の作業方法までプロデュースしました。
しょう君は現在一人暮らし、IT企業に勤めるサラリーマンです。
埼玉県所沢市→東京都某市までの短距離引越し(約10km)であるため、引越し業者に任せるよりも自分でやった方が安上がりではないかということで相談をしてくれました。
目次
まず結果からお話しすると、自分で引越しするためにかかった料金は、同規模の引越しを業者に任せたときとほぼ変わりありませんでした。
以下がその比較となります。
自分で引越し | 業者へ依頼(単身引越し) | |
所要時間 | 8時間 | 3~4時間 |
移動距離 |
片道10km | |
資材費 | 5,409円 | 0円 |
車両費 | 6,457円 | 15,000円 |
人件費 | 12,000円 | 12,000円 |
(チップ) | (1,000円~) | (1,000円~) |
合計 | 23,866円 | 36,000円 |
※車両費は資材購入時の移動・ガソリン代も含む
※人件費は都内最低賃金1名8時間で計算
※業者の人件費は最低2人、単身引越しの場合は4時間で終了
※チップは友人、業者へのもの。昼食代や飲料など。
「1万円近く差が出ているじゃないか!」という声が聞こえてきそうですが、所要時間や疲労度を考えるとそれを十分に穴埋めできます。
資材を買いにホームセンターへ行く時間や、友人の手配、万が一の補償が利かない点を考えると、ほとんど差がないと見てよいでしょう。
もちろん、自分で引越しする場合「人件費」を考えなければ、料金は抑えられます。
しかし引越し業者へ依頼した場合についても、相見積もりを取れば15,000円~20,000円程度で引越しを任せられるため、金額的には実はどちらも変わらないのです。
自分で引越しするにあたっての準備、行程、その他前提
引越しは、家財を梱包・運搬するための資材の購入、家財を運ぶための車と手伝ってくれる友人の手配、作業工程の確認などが済んではじめて引越しができます。
この項では、引越しに必要な資材や作業行程、下準備などの確認をおこなっていきます。
自分で引越しをする際に必要な資材
必要な数 | 備考・用途 | |
ダンボール | 10~50箱 | 家庭によって増減あり |
ガムテープ | 1個以上 | ダンボール10枚につき1個程度 |
エアーキャップ | 7m巻き一つ以上 | プチプチ(緩衝材) |
養生テープ | 1個 | 大型家財の引き出しなどを固定するために使用 |
割れ防止シート | 皿の枚数分 | 皿用緩衝材 |
滑り止め付き手袋 | 人数分 | 滑り・事故・怪我防止 |
台車 | 1台 | 家財やダンボールの運搬補助 |
その他清掃用具 | 必要分 | バルサン、ブラックキャップ、パイプユニッシュなど |
引越し準備~引越し日前日までにしておくべきこと
- 資材の購入
- 段ボールに詰められる家財の梱包
- 引越し作業を手伝ってくれる友人を探し始める
大型家財の運搬には3人以上の人手が必要 - 事務手続き
駐車許可の取得、ガス・電気・ネット回線等 - 新居の清掃
- 大型家財の梱包
分解の必要な物は当日梱包でもOK
引越しに必要な資材を買いに行く
自分で引越しをするにあたって、車は必要不可欠です。マイカーが無い場合、友人から借りたり、レンタカーやカーシェアを利用します。引越しに必要な資材は大きく自転車等では不安なため、引越し当日以外にも複数回車が必要になります。
今回はカーシェアを利用して引越しに必要な資材を購入しに行きます。しょう君宅付近にある「タイムズカープラス」にてトヨタカローラを借りました。
ダンボールやエアーキャップなどかさばる資材は多いですが、単身者の引越しに使用する資材程度であればこのくらいの車で事足ります。
ちなみに、引越し業者に依頼すれば必要な資材は全て無料でもらえます。今回は所沢市からほど近い「島忠ホームズ東村山店」で必要な資材を購入していきました。
引越しに適したダンボールとは?ダンボールの選び方
一口に「ダンボール」と言っても、用途によってサイズや値段が変わってきます。引越し用のダンボールは比較的大きめ、宅配用で表すのであれば120~140サイズの物を使っていきます。
壊れ物・食器・書籍が多い場合は120サイズを多め、洋服・ぬいぐるみなどの壊れにくく軽い家財が多い場合は140サイズを多めに購入していくと、引越し作業がスムーズに進んでいきます。
「大は小を兼ねる」ということで、140サイズに書籍や壊れ物を入れても構わないのですが、ぎゅうぎゅうに詰めてしまうとダンボール一個が重たくなってしまい、引越し作業中に底が抜ける可能性もありおすすめできません。
自分で引越しをする際は「紙製」のガムテープを使う
ガプテープの材質は布と紙の2種類あり、強力なイメージがあるのは布製ガムテープの方ですが、引越しには紙製のガムテープ、通称「クラフトテープ」がおすすめです。
しっかりと梱包をすればクラフトテープの強度でも底は抜けません。
また、引越し後のダンボール処理を考えると、クラフトテープの場合はボールペンや定規などで貼った箇所をなぞるだけで切れるので軽々と畳めます。
引越し業者でもクラフトテープを使用していることが多いため、ガムテープは紙製のクラフトテープを使うのがよいでしょう。
大型家財を梱包するエアーキャップは長めに購入する
エアーキャップについては、自分の持つ大型家財と壊れ物の量と相談しながら購入をするようにしましょう。
購入するエアーキャップの長さの目安は、引越し先へ運ぶすべての大型家財の寸法を計り、その長さの合計より少し長めにするとよいでしょう。
なぜ長めに購入するかというと、自分で引越しする場合、引越し素人であるがゆえエアーキャップを上手く巻けないことなどが多く、引越し当日になってエアーキャップの長さが足りなくなってしまうことがあるからです。
仮にエアーキャップが余ったとしても、車内に積まれた家財と家財の隙間に挟む緩衝材として有効活用ができます。
また、多めに購入しておけば、食器を包むための緩衝材をこれで代用することができるため、食器専用の緩衝材を購入する必要がなくなります。もちろん、食器専用の緩衝材は「専用」というだけあって使いやすいことは事実なので、好みによって使い分けるとよいでしょう。
引越し用のキルティングパッドは買う必要なし!
ホームセンターには引越し業者でも使われている、大型家財保護の用のキルティングパッドも販売されています。これを使えば車や家財が傷付く可能性を大幅に下げることができます。
しかし、キルティングパッドは小さい物でも1,000円、大きい物になると5,000円と高価で、引越し作業以外では何の使い道もない資材であるため、「絶対に家財や車を傷付けたくない!」という方以外は購入しなくてよいでしょう。
滑り止め付き手袋は自分で引越しするには必須のアイテム!
大型家財を運ぶ必要のある引越し作業をするときは、必ずゴムの滑り止めが付いた手袋を人数分用意しておきましょう。滑り止め付き手袋を使えば、安全かつスピーディに大型家財が運べるようになります。
大型家財を素手で運ぶこともできますが、大型家財を持ち上げたり移動させている際は手が痛くなりますし、滑り止めがない分筋肉に負担がかかるため、作業翌日から筋肉痛に悩まされます。
手袋一組の値段についても、ゴム製の滑り止めがついてさえいれば200円ほどの安い物で構わないため、大型家財を運ぶ人数分の手袋を購入しておくようにしましょう。
台車は住居にエレベーターがある場合のみ購入
台車を使って家財の運搬ができるのは「住居にエレベーターがある場合」のみ。階段しかない住居ではかえって足手まといになります。
しかし、ダンボールを台車に載せて運ぶほか、大型家財の搬送にも使うことができる非常に便利な道具です。
台車の中心と大型家財の中心を合わせ、台車を押すのではなく家財のバランスを取りながら引くことで、手で持ちながら運ぶときよりも負担なく大型家財を車まで運ぶことができます。
また、この運搬方法は台車に載せてしまえば一人で家財を運ぶことができるため、体力も作業時間も大幅にカットすることができます。
生活用品、清掃用品も一緒に買い揃えておこう
殺虫剤や水回りの掃除に使う生活用品など、ホームセンターに来れば大概の生活用品は揃います。
買っておいた方がよい物は、バルサンやブラックキャップのようなゴキブリ対策用殺虫剤、パイプユニッシュなどの水道詰まり防止の洗剤など。前住居人の手入れが荒いと住み始めてからすぐに水回りのトラブルが起きるため、水道詰まり防止の洗剤は特に買っておくべきでしょう。
ホームセンターで必要資材を購入!
引越し用の資材と生活用品をすべて購入。最低限の買い物に留めたつもりでしたが、それなりの量になってしまいました。これらを持って徒歩あるいは自転車で帰ることは難しいので、移動にはやはり車が必須と言えます。
今回借りた車はトヨタカローラのトランクスペースはそれなりに大きいですが、それでもダンボールの幅いっぱいでした。
軽自動車でもダンボールを収納することはできます。しかし、後部座席を倒す必要があったり後部座席に干渉したりと、車内環境が快適とは言えない状況になるため、引越し資材の購入にはできるだけ一般乗用車を利用するのがよいと思います。
東村山市にあるホームセンターで引越しに必要な資材を購入し、所沢の自宅へようやく到着。雨が降っていたこともあり、午前中にホームセンターへ行ったにもかかわらず自宅へ到着したのはお昼過ぎ。資材を買いに行っただけなのに結構疲れました。
翌日に引越しを控えている場合はここから荷造りを終わらせる必要があるわけですから、作業が終わる頃にはヘトヘト、もしくは梱包が終わらないかもしれません。資材の購入は時間に余裕をもって終わらせることをおすすめします。
引越しの梱包のコツ
基本的な梱包のコツは「一日で全て終わらせようとしない」ことです。梱包は単調な作業の連続であるため飽きやすく、一日二日でやろうと思うと気が滅入ってしまいます。
食器類の梱包のポイント
お皿の梱包には「割れ防止シート」やエアーキャップなど緩衝材を使いましょう。
割れ防止シートのいい所は、エアーキャップと違って切らずに緩衝材として使える点です。袋から取り出してすぐ使うことができるため、とても使い勝手がよいです。エアーキャップに比べると衝撃に対して弱いものの、大型家財を運ぶ必要がなく、壊れ物が食器のみの場合はこちらの方が安上がりです。
IKEA家具の解体(クイーンサイズのベッド)
今回の引越しで最大の難敵となった、IKEA製のクイーンサイズベッド。引越し業者に依頼すればベッドや大型家財の分解を作業員に任せることができますが、今回はすべて自分の手で分解していかなければいけません。
ベッドの分解にはドライバーや六角レンチが必要になる場合があります。これらを持っていない場合は新しく購入をしないといけません。ベッドを分解する際に注意することは「分解した金具を絶対に失くさない」こと。金具を失くしてしまうと、引越し先でベッドが組み立てられなくなってしまう可能性があるため、一まとめにしてしっかり保管しておきましょう。
また、「ベッド」ということで、分解をするタイミングが引越し当日か前日夜になることが多い点にも注意です。荷造りが終わってない状況だとベッドの分解まで手が伸びないでしょうから、引越し当日におこなう作業が増えてしまいます。
そして、IKEA製の家財は、一度組み立ててしまうと素人では再度分解・組み立て出来ない家財がとても多いです。幸いなことにこのベッドは素人でも分解・組み立てができる構造でしたが、すべてのIKEA製家財がそうではありません。
衣類の梱包のポイント
引越し業者に依頼する場合、洋服全般の梱包は一切必要ありません。ハンガーにかかった洋服はハンガーケースと呼ばれる専用のケースに入れて運んでくれますし、タンスに入った洋服についても入れっぱなしで持っていってくれるからです。
しかし、自分らで引越しする場合ハンガーケースなんてないでしょうし、タンスに洋服が入ったままでは重たくて持ち上がらない可能性もあるため、すべてダンボールの中へ梱包をする必要が出てきます。
洋服は折りたたんでから詰め込んでいくようにしましょう。洋服は書籍や食器などと違い軽くて破れにくいため、ある程度ぎゅうぎゅう詰めにしても底抜けや破損の心配がありません。
引越しブルーの対処法
単身で家財の量が少ないとはいえ、梱包作業というのは意外と骨が折れるものです。しょう君は梱包作業を甘く見ていたようで、見事に引越しブルーに。
引越しブルーにならずに梱包を進めていく一番の方法、それは一日におこなう梱包の量を決めて気長にやることです。
梱包には時間がかかりますが、作業をしていけばいつかは終わります。それを無理に短期間で終わらせようと思うから、作業が進んでいる気がせずブルーな気持ちになっていくのです。なので「今日はダンボールを〇個作る」とあらかじめ目標を立て、引越し予定日までに梱包が終わるようにしておけば、一気に梱包するよりもはるかに気持ちが楽になります。例えるなら、夏休みの宿題のようなものですね。
引越し前の新居でやっておきたいこと
バルサン
バルサンは設置型の殺虫剤とは違い部屋の隅々まで殺虫剤が行き届き、文字の通り「燻り出す」ように害虫を部屋から駆除できるため、スピーディかつ確実に虫を駆除することができます。
ブラックキャップ
燻煙剤型殺虫剤を焚くのは怖いけど害虫駆除をおこないたいという人は、ブラックキャップなどの設置型殺虫剤を置くのがおすすめです。設置型殺虫剤は、中に入っている殺虫成分の入った撒き餌を害虫が食べることでじわじわと虫を駆除していく遅効性の殺虫剤です。
燻煙剤型殺虫剤に比べて即効性が低いことは事実ですが、殺虫成分の残留・誤飲を気にすることなく駆除でき、設置するだけで効果がある点から言って、最も安全かつ手軽に害虫を駆除できる方法です。
排水口・パイプクリーナー
水道管や排水管のつまりに有効な「パイプユニッシュ」や「かんたん洗浄丸」。ぬめりや詰まりを溶解し、清潔な状態を保ってくれます。
トイレの詰まりケアも忘れずにおこなうようにしましょう。
新居に行く機会がある度にこまめに荷物を運ぶ
引越し前に何度か新居へ足を運ぶ機会があるでしょうから、その度に生活用品・家電等を引越し先へ持っていってしまうのがよいでしょう。
これらをすべて終えたところで「引越しをおこなう準備」が整いました。しょう君はこの段階でクタクタのようでしたが、引越し作業はまだまだ序盤。本当に大変なのは引越し作業そのものなのです。
いよいよ引越し!どれだけ大変なのか
引越し日当日、今回は引越しをする友人を含む2名で引越しをおこなうことになりました。「単身者の中でも家財は少ない方だと思うよ」と引越し準備をする前に語っていたしょう君ですが、いざ見てみると大型家財もそれなりにあります。これは長時間作業になりそう…。
冷蔵庫や洗濯機といった大型家電は一つも持ってかないというのが不幸中の幸い。400リットルを超える冷蔵庫を自力で持っていこうとすると、重さや運びにくさから事故へとつながりやすいため、これらがないというだけでホッとしました。
家具・家財の運び方と補足
ダンボールの運び方
まず最初にダンボールから運んでいきます。ダンボールは軸手で下奥側の角を持ち、利き手で上奥側の角を持つようにすると楽に持つことができます。写真のように対曲線にある角同士を持つ人が後を絶えないのですが、このように持ってしまうと下を持っている方の手に過剰な負担がかかることになり、握力を無駄に使ってしまうことになります。
結果として事故へと繋がりかねない危険な持ち方であるため、決して真似しないようにしましょう。
組み立て式の家具(本棚)の運び方
次に手を付けたのは木製の本棚。しょう君はこのまま運べると思っていたようですが、こういった棚の位置を使用者好みに変えられる本棚は、あらかじめ棚の下敷きを抜いておく必要があります。下敷きを抜かずに運んでしまうと、棚を傾けた際や移動時の振動で下敷きを支える金具を紛失しやすくなってしまうからです。
金具をなくしてしまえば下敷きはただの木の板。メーカーによっては「金具を紛失した」と連絡することで新しい金具を送ってれることもあるそうですが、二度手間になりますし金具が来るまで整理が終わらないこともあるでしょうから、金具は絶対になくさないようにしましょう。
下敷きを支えていた金具は、引越し先で組み立てる際にも使用するため必ず一まとめにして保管するようにしましょう。ジップロックのような袋に入れて保管するのがベストですが、ガムテープや養生テープで家財自身に貼り付けておくという手もあります。
作業の分担方法
引越し業者でも同じような作業をするのですが、引越し作業は「部屋から家財を出す人」と「車まで家財を運ぶ人」の2種類に分かれて作業をすると効率よく作業を進めることができます。
作業する人が協力し合うのは大型家財の運び出しをするときのみ。ダンボールやベッドの支柱については基本一人で運ぶようにしましょう。
洋ダンスの運び方
洋ダンスのような引き出しが付いている家財を運ぶ際は、写真のように引手を養生テープで止めておくと、移動中に引き出しが開くことなく運ぶことができます。
引越し業者に任せる場合、家財の上からキルティングパッドを被せるためやる必要はありませんし、家財の破損は引越し業者が責任を取ってくれることが多いのですが、自分で引越しする場合は何が起きても家財や車がどうなっても自分で責任を取らなければいけないため、事故やトラブルを防ぐための行動はできるだけ多くおこなっておいた方がよいでしょう。
台車の使い方
台車を使って家財を運ぶ際には周りや家財の転倒に注意です。しょう君のように、台車の取っ手を持って押しながら運ぶのは危険です。
取っ手を持ちながら押すと家財のバランスを保つのが大変難しくなりますし、何より不意に起こった家財の転倒に身体が対応できません。更に、この状態で家財が倒れるとすれば奥側に倒れてしまうため、もしかしたら陰に隠れている近隣の人を傷つけてしまう可能性もあります。
台車は乗せた家財自体を押さえて手前へ引くのが正しい使い方です。家財を台車に押し付けるようにして引いていくため少しコツがいる運び方ですが、事故が起きた際のリスクを考えれば押すよりも引いた方がよいでしょう。
本棚のような幅の広く向きを変えないとエレベーターに入らない家財については、エレベーター前まで台車で持っていき、エレベーター前で向きを変え、エレベーターを降りてからまた台車に乗せるようにすると楽に運ぶことができます。
台車に乗せてしまえば大抵の大型家財は一人で下まで運ぶことができるため、台車を使った作業は基本一人でおこなうようにすると効率よく引越し作業を進められます。
大型家財を一般車に積み込むポイント
家財を車に積み込む際は、無理せず二人以上でおこなうようにしましょう。二人で家財を持つ際のポイントは、写真のように上下を持ち分けること。素人のみで引越しをする場合、両者とも下を持って「よいしょ」と持ち上げることが多いのですが、二人で下を持ってしまうと勢い余って家財の上部角を車にぶつけることになってしまいます。
そのため、一人は家財の下部を持ちながら車の床を注視、もう一人は家財の上部を持って車の天井や家財を置く位置を指示していくとよいでしょう。
また、洋ダンスに代表される中・大型家財を一つでも運ぶ場合、一人で作業していくことは不可能であるため一人以上は友人などの手伝いを呼んでおくようにしましょう。
コンテナ付トラックを借りていればコンテナ内で家財を積み直すことができるため、下まで運んだ家財を順に車内へ積んでいけばよいのですが、一般乗用車の場合は積み直しがかなり面倒であるため、一度下まで家財を運んでもすぐには積まず、ある程度まとまった段階で積むようにするとよいでしょう。
その際は写真のように家財を放置することになるため盗難の危険性が出てきます。そのため、家財を下に放置する際は一人が車番を用意するか、常に家財が見れるような場所で作業をするようにしましょう。
今回引越しに使用したのは、引越しを手伝いに来た友人Bが所有するマツダのミニバン。後部座席を倒せばそれなりに広いスペースが確保できます。本棚のような背の高い家財を車に積む際は、後ろから押し込むように積むのではなく、もう一人が奥側に立って家財を引き入れるようにすると安全かつスムーズに積み込むことができます。
今回もそのように本棚を積み込んでいたのですが、ここで思わぬ事件が発生…。
何と引越しを手伝ってくれていた友人Bのマイカーの天井へ本棚の角をぶつけてしまい、天井部分をへこませてしまう羽目に。奥側で作業していたしょう君が、本棚と天井が接触していたのに気付かず力一杯本棚を引いてしまったのが原因。この後何度か試行錯誤したのですが、どうやっても本棚と天井が接触してしまったため、友人Bの車へ本棚を積むことは断念。何か違う方法を考えなければいけなくなりました。
車に傷が付いた友人Bは、「元々古い車だし、マイカーだからそんな気にしなくていいよ!」と言っていましたが、すべての人がこのような対応をしてくれるわけではありません。
また、これが友人Bのマイカーだったから何も請求されなかったものの、レンタカーやカーシェアで借りた車を傷付けてしまえば、保険に入っていない場合は修理代請求、入っていても詳しい背景を洗いざらい聞かれる可能性があるなどかなり危険です。
このような事故が起きないように注意しているつもりでしたが、やはり素人のみで引越し作業をおこなうのは難しいと改めて実感するタイミングでもありました。
引越しを友人に手伝ってもらうリスク
友人に引越しの手伝いを頼む最大のデメリットは、素人同士で引越しを進めていくことになる点です。
引越し業者に依頼したときに比べて当然作業の質は落ちますし、作業時間も余分にかかります。夏場など暑い時期に作業をおこなって手伝いが熱中症などで倒れれば、その日の作業は中止となってしまいます。
家財を運んでいる際の事故で骨折などしてしまえばどのように保証してあげるべきか困ってしまいます。作業中や作業後には昼・夕食を奢ってあげるべきかもしれませんし、人によっては作業後にお駄賃を要求してくるかもしれません。
気心の知れた仲ならそのような心配はないかもしれません。しかし、作業面以外の気遣いを一切しないで済む分、引越し業者に依頼した方が気楽に引越しできるという考え方もできます。
駐車許可証について
またマンションでは駐車許可証を貰っておかないと、敷地内に車を停めながら引越し作業をさせてもらえない場合があります。引越し業者のように公道へ車を停めて作業すると、現住所から車までの距離が延びる分負担は増えますし、場合によっては路駐で切符を切られてしまう可能性もあります。
とりあえず一台目の車へ荷物の積み込み完了!
車を傷付けてしまうというトラブルに苛まれながらも、一台目の車は積み込み完了。単身の家財量であるといえど、一般乗用車一台ではすべての家財を積み切ることができませんでした。しかも残っているのは大型家財ばかりであったためカーシェアを利用することに。想定外の出費が増えることになりました。
二台目の引越し車両にカーシェアを使用
家財が積み切らない・本棚が友人Bのマイカーに入らないということで、しょう君宅付近にあるタイムズカープラスを借り出し。引越し資材の買い出し時とは違い、大きな家財を運ぶということでトヨタのノアを借りることにしました。
ノアは8人乗りの車で後部座席を倒せばかなり広いスペースを確保できます。これだけあれば先程入らなかった本棚もすんなりと入ることでしょう。もちろん、カーシェアとあっては絶対に傷付けることが許されないため、先程よりも更に慎重に積み込んでいく必要はありますが…。
バックドアスペースが広いため、大型家財を楽々積み込んでいくことができます。自分で引越しをする際は家財を収納するスペースも大事ですが、ノアのようにバックドアスペースの広さも重要である点を覚えておきましょう。
布団袋
こちらはメルカリで購入した中古未使用の布団袋(アート引越センター)。新品の布団袋の相場は1,000円程度ですがこれは500円と割安。意外と多くの人が布団袋を売り出しているのでおすすめです。
布団を写真のように家財と家財の間へ噛ませておけば、移動中の家財破損を防ぐ優秀な緩衝材となります。布団以外にも余ったダンボールやエアーキャップ、ぬいぐるみなどに緩衝材としての効果が期待できます。
一台目の車に積みきれなかった本棚も無事載せ終わり、現住所での引越し作業はこれで終了!
9時30分から始めたにもかかわらず、積み終わりは13時過ぎ。引越し業者に任せていれば、この時点で引越し先での作業も終わっているであろう時間です。二人は既にヘトヘト状態。一度食事休憩を入れてから引越し先での作業を進めたいと思います。
新居へ移動!荷下ろしスタート
自分で引越しをする場合、長時間に渡って住居前の道路に車を留めておく必要があるため、引越し作業をする前に引越し先の大家さんへ挨拶に行き、車をどこに停めればよいか聞いておきましょう。
引越し先作業のポイント
引越し先での作業の基本は、ベッドなど部屋の奥に入れる大型家財から先におろしていくことです。
車のバックドア付近に積まれている冷蔵庫や洗濯機、軽くて運びやすいダンボールなどから先に入れたい気持ちは強いでしょうが、これらを先に入れると家財の通る通路が狭くなっていくためかえって危険です。
そのため、冷蔵庫や洗濯機は車から出して邪魔にならない場所に捌けておき、ベッドパーツなどから運んでいくのがベストと言えるでしょう。
まずは部屋の最奥部に置く予定である、ベッドから運んでいきます。ベッドパーツのような背が高く幅が広い家財は、普通に運ぶと狭い通路に阻まれ上手く部屋に入れられない可能性あります。友人の引越し先の通路も狭く、正攻法では部屋に入れこむことができませんでした。
そんなときは一度進んできた道を戻り、家財を開けたスペースに逃がしながら少しずつ入れていくようにするとよいでしょう。
ベッドパーツや大型家財が通路から入らない場合、引越し業者であれば窓から吊り上げ作業をおこなうこともあります。しかし、吊り上げ作業はミスを起こすと死者が出るほど危険な作業であり、基本的には専門業者に外注、最悪作業員でおこなう場合はヘルメット着用が義務付けられるような作業であるため、自分らでおこなうのはおすすめできません。
運び方を工夫すれば割と簡単に家財は通路から入るので、基本的には通路から家財を搬入するようにしましょう。
幅の狭い扉の奥へ家財を通す際も、上記の通り広い場所で家財を切り返しながら入れ込んでいくとよいでしょう。引越し業者の作業員も、家財を置く場所へ到着するまでに何度も切り返しや家財の逃がしをおこなうものです。重たいからと言って焦りながら無理くり入れ込もうとすると、家屋や家財に思わぬ傷が付いてしまいます。
家財が重たくてもう持てないと思ったら、一緒に持ってる友人へ「一回置こう」などと声をかけて少し休憩を入れていくのがベストです。あなたが急に家財を持つ手の力を抜けば、一緒に持っている友人の負担が増えるどころか家財のバランスが崩れて思わぬ事故へとつながります。実際引越し業者でも声の掛け合い不足が原因による事故が後を絶えません。
あなたの引越しに携わった誰かが大怪我を追ってしまわないように、大型家財の搬出入中はしっかり声がけをおこなっていくようにしましょう。
引越し作業の終盤には、こちらから指示をせずとも家財をセオリー通りに持つことができるようになり、スムーズに作業が進んでいきました。
そんなこんなですべての家財の搬入作業が終了。しかし、引越した友人の作業はまだまだ終わりません。今回は引越し作業にカーシェアを利用したため、所沢にあるステーションに車を返しに行かなければいけませんし、引越し先に戻った後は荷解きとベッドの組み立てもおこなわなければいけません。荷解きに関しては後日に回すこともできるでしょうが、ベッドを組み立てない限り床で寝なければいけなくなってしまうため、少なくてもベッドは組み立てないといけません。
引越し業者に依頼すれば、IKEAを除く基本的な家具の組み立て・配置は作業員がおこなってくれるため、引越ししてすぐに最低限の生活スペースを確保することができます。そういったサービスが一切付いていないという点でも、自分で引越しするのは本当に面倒であると言えますね。
引越作し業終了!引越し業者はやっぱりスゴい…
所沢のステーションにノアを返し、友人の引越しは終了。午前9時から開始して終了したのは午後4時。引越し業者なら2時間程度で終わる作業に7時間以上の時間を費やしていたことになります。
さらに引越し先での片付けもまだ残っているので、実質それ以上の時間がかかるということになります。素人による引越しということで長時間作業になるのは覚悟していましたが、まさかここまで時間がかかるとは思いませんでした。
最終的にかかった費用を確認しても、引越し業者に依頼した時よりもほんの少し安い程度、場合によっては引越し業者の方が安いのではと思うような金額まで膨れ上がったため、しょう君が望むような費用削減にはなりませんでした。
友人同士で作業をおこなったということで、気軽に作業できたのはよい点だったと思いますが、友人Bの車を傷付けてしまい一瞬気まずい雰囲気になったことも事実です。
以上の点を踏まえると、どうしても自分だけの力で引越しをおこなわないといけない状態でない限りおすすめすることはできません。大規模な引越しになればなるほどこの差が小さくなっていくでしょうから、どんな引越しでもできるだけ引越し業者に任せるべきです。
自分で引越しをすることに比べれば、引越し業者との値引き交渉は難しくありません。焦って決断する前に、引越し業者へ見積もり依頼をするべきであると言えるでしょう。
今までは何も考えず自分で引越ししてきたけど、明確に料金を計算したことはありませんでした。
どうなるのか…。