大きい家財は物損事故が起こりやすい
引越し業者に引越しを任せず自分たちで引越しをするとき、大きな家財についてはどうしようか悩むものです。持ちやすく、落としても大した損傷にならないダンボールと違い、大きな家具・家電は落とせば家財自体だけでなく、家屋の損傷にも繋がるでしょう。
実際、引越し業者の物損事故の多くも大型家財の取り扱いミスで起きるものが大半のため、引越しのプロである現場作業員ですら運搬に際しては細心の注意を払っています。
かといって、2~3点しかない大型家具・家電のためにトラック1台分の料金を払うの嫌だという人も多いと思います。そういう方は、大型家財を運ぶときの注意点を確認して、少しでも物損事故のリスクを減らすようにしましょう。
大型家財の搬出入時の注意点
家具の上の天井
重たいものを運ぶときは、腕ではなく腰に力を入れてゆっくりと持ち上げてから運ぶのがポイントです。腕の力に頼りすぎてしまうと、バテるのが早くなってしまうだけでなく、勢い余って天井にぶつけてしまうことが多いからです。
特に冷蔵庫のような背の高い家財は天井にぶつけるリスクが高く、背の高い家財の物損事故は、持ち上げるときにミスをして起きるものが大半です。
これを防ぐために、引越し業者は引越し専用のキルティングパッドを使うことが多いのですが、小さいものでも1枚3,000円以上するため、1回の引越しのためだけに買うのはもったいないです。
そんなときは、家財の上から毛布を掛けることをおすすめします。毛布は引越し業者でも家財の損壊を防ぐために使っているため、有用性は抜群です。冷蔵庫を運ぶ場合は、冷蔵庫の上に積もったホコリを掃除してから、毛布を掛けて運ぶようにしましょう。
ドアは家財を運ぶ前に外しておくのが無難
大型家財の搬出入ルートにドアがある場合、引越し業者はドアを外してから作業することが多いです。ドアの端っこの方はかなりの鋭角であり、家財をぶつけてしまえば一発で家財がへこんでしまうからです。
また、真ん中がすりガラスになっているドアも多く、重たい家財が当たった衝撃で簡単にガラスが割れてしまうこともあります。ドアの蝶番はプラスドライバー1本あれば簡単に外せるものが多いので、搬出入時は外しておいた方がよいでしょう。
両脇の壁には要注意
引越し業者に任せるのと任せないので1番違いが出るのが、壁の保護です。
引越し業者に任せた場合、家財には保護のためのキルティングパッドが掛けられ、壁には1面に養生を貼っているため、思い切りぶつけない限りは双方に傷が付くことはありません。
しかし、自分で引越しをする場合、家財はほぼ裸の状態で壁には養生を1枚も貼らず行うことでしょう。角むき出しの家財であれば、軽く壁に当たっただけで壁紙に傷を付けることができますし、勢いがよければ壁紙だけでなく壁に穴が開くことだってあります。
壁に傷が付く例で多いのは、階段を使ってタンスを運び入れるタイミングです。大型家財を持っていると足元が見えづらく、踏み外した結果横に倒れて傷が付くといったケースは、現場作業員のミスでも多いため、2階に運び入れる際は手元以上に足元を注意しましょう。
家財は絶対に床を滑らせない
フローリング・畳などその種類に関係なく、重たいからといって家財を滑らせて運ぶのはやめましょう。大型家財の物損事故は落としたことが原因であることが多そうに思えますが、実は落とすよりも滑らす方が簡単に家屋を傷付けることができます。
引越し業者でも、どうしても床を滑らせなければいけないときは、家財の下にキルティングパッドを敷いてキルティングパッドを引っ張るようにして運んでいます。
そのため、自分たちで家財を滑らすときはキルティングパッドの代用となる敷物(できれば毛布)を敷いてから、敷物を引っ張って運ぶようにしましょう。
吊り上げ作業があった場合は無理をしない
もし、2階に冷蔵庫などの重たい家財を吊り上げなければいけなくなったときは、絶対に自分でやってはいけません。冷蔵庫の吊り上げは、引越し業者でも吊り上げ専門の業者へ外注することが多く、死亡事故の前例があるくらい危険なものです。
引越し先の前の道路が広い場合は、「ユニック車」と呼ばれるクレーン車を使って持ち上げますし、狭い場合は3~5人がかりで持ち上げて運びます。
費用は30,000~50,000円程度かかってしまいますが、吊り上げ中に家財を落としてしまったときのリスクを考えると、吊り上げ専門業者に任せた方が安心といえます。
リスクを考えると引越し業者に任せた方が安心
自分たちだけでも大型家財を運ぶことはできますが、壁の養生や家財の保護が薄い以上、運ぶにはどこかが傷付いてしまう覚悟はしておいた方がよいです。特に借家や賃貸物件に傷を付けた場合、退去時に「故意に傷付けた」と修繕費を余分に取られる可能性が出てきます。
高層マンションやデザイナーズマンションなどは、規約上「引越し時は養生を引くこと」「業者に頼まず引越し作業をしてはいけない」と独自で定めているケースもあります。これを無視して作業してしまうと、仮にあなたが賃貸人の場合、大家(オーナー)に迷惑がかかってしまいます。
引越し業者に任せていれば、そもそも物損事故については自分たちでやるよりは信頼できますし、仮に傷が付いたとしても、その場で確認さえすれば標準引越運送約款に基づき、引越し業者に責任を取ってもらえます。
後に傷付けた箇所を直すために払う料金のことを考えれば、トラック1台と人件費だけで済む引越し業者に任せた方が安いとも言えるでしょう。さらに、こちらの言い値が通りやすい引越し料金であれば、営業マンとの交渉次第でいくらでも値引きすることができます。
自分たちで運んだときのリスクを考える前に、引越し業者の見積もりを取る方が賢い選択と言えるでしょう。