引越し見積もりサイトは何ができるの?
引越しをするときに最も気になるのは「引越しに一体いくらかかるのか?」ということですよね。概算が知りたいために、概算案内ができると謳う「引越し見積もりサイト」で金額を見ようとする人が多いのですが、引越し見積もりサイトを使っても具体的な概算額は出てきません。
なぜなら引越し見積もりサイトの金額は、サイトに登録している引越し業者すべての会社の平均価格が出てしまうため、見積もりを取る予定のない引越し業者の価格も入ってくるからです。
そもそも引越しの料金は「競り(せり)」のようなものですから、相場はあるようで無いのです。またあなたが強行して「10万でやりなさい!」と言えば、言い値のような形で料金が決まてしまうこともあります。
引越し見積もりサイトは引越し業者が訪問見積もりのアポを取りやすくするためにあり、概算額を見ただけで提携している引越し業者にあなたの情報が全て伝わり電話がかかってきます。引越し見積もりサイトは使い方次第で確かに得することもできるのですが、初心者はその電話の数にまず圧倒されてしまうことでしょう。
引越し見積もりサイトを使うにあたっての注意点はこれだけではありません。
引越し見積もりサイトの危険性
引越し見積もりサイト経由の割引は信用できない
引越し見積もりサイトのトップページには「タイムセール」や「引越し見積もりサイト割引」という言葉が並んでいることが多いのですが、実際に訪問する引越し業者は、引越し見積もりサイト経由だからといって値引きをすることは原則ありません。
なぜなら、インターネットでの値引き情報は現場の営業に伝わっていないからです。引越しの営業が始業時に渡されるお客さまの見積もり指示書には、「インターネット経由」としか書いてないので、お客様から言われて初めて知ることが多いのです。そもそも引越し見積もりサイトと引越し業者は別会社ですから、提携しているとは言っても、肩を組み合って協力しているイメージではないのです。
※現場の都合を知らないIT企業が見積もりサイトを運営している。また引越し業者も見積もりサイトの運営事情など知らない。
不動産会社の紹介で引越しを契約した場合
引越し先を契約した不動産会社からの紹介であれば、チラシに「〇〇%割引」と大きく書いてあるので分かりやすく、不動産周りを担当している営業から「〇〇%は値引いてください」と指示があることもあります。
「値引きだけ」を重視するならインターネット経由ではなく不動産経由がおすすめです。
引越し見積もりサイトだけで契約できることは少ない
インターネット見積もりだけで「契約できる・契約が成立する」と書いてあることもあります。しかし、一人暮らしの見積もりであっても滅多にインターネットのみで契約はできません。なぜなら、引越し当日に用意した車両に家財が乗り切らないことが多いからです。
引越し業者は家財の積みこぼしを最も嫌います。元々違う仕事をさせる予定だった現場作業員を無理やり追加で向かわせると、引越し先にも一緒に行かなければならなくなるため、無駄に時間がかかるからです。
残業時間を指摘されやすい大手引越し業者であればあるほど、正確な家財量を把握したがるため、インターネットでの見積もりを選択しても訪問見積もりを提案してきます。
10以上の引越し業者からアポ電話がかかってくる
引越し見積もりサイト経由で引越しの見積もりを応募すると、入力した家財量を基に「この量ならうちでできる!」という企業が名乗りを上げ電話をかけてくるため、大体10社ほどからひっきりなしに電話がかかってきます。
また大手引越し業者では、24時間インターネット経由の人にアポイントの電話をかける部門が存在するため、利用時の時間帯にも注意しなければいけません。
ここで声高らかに引越し見積もりサイトの危険性を論じても、電話がかかってくる2~3日の期間を耐え、実際に引越ししてしまえばその後はまた平穏な生活に戻ります。また引越し見積もりサイトを使えば引越し料金が安くなるというのは隠しようもない「事実」。ここからは引越し見積もりサイトを有効利用する方法についてご紹介します。
引越し見積もりサイトの上手な使い方・メリット
電話対応で厳選して見積もりを取る
見積もりに来る営業や現場作業員が電話をしてくるわけではありませんが、受付の電話対応が雑な業者は総じて作業も雑です。
また契約後に変更事項がある場合は、担当支社に電話して対応してもらうため、電話対応が雑な会社だと変更処理がされてないことも多く、当日にトラブルが起きやすいです。
そのため、多くの引越し業者から電話がかかってくる引越し見積もりサイトに登録をすれば、見積もりをする前に引越し業者を厳選することができます。
一番頼みたい予定の業者の見積もりは最後に取る
引越しの見積もりの予定を立てるとき口コミなどから目星をつけた、「一番頼みたい業者」は最後に見積もりを取るようにしましょう。
相見積もりを取るということは「様々な引越し業者を比較したい」ということですよね。頼みたい引越し業者の見積もりを最初に取ってしまうと、他の引越し業者の見積もりと比較しているうちにトラックがなくなってしまう場合があります。
トラックの空きが少ない、もしくは0の状況で値引き交渉をしても営業は乗ってきません。そのため、最も興味がある・頼みたい業者は最後に取るのが効率よい方法なのです。さらに、他の引越し業者の見積書が出揃っていれば、相場感もつかめるので交渉も簡単にできます。
見積もりを取る間隔に気を付ける
相見積もりのときに最も気を付けなければいけないのは、引越し業者のダブルブッキングです。
中には意図的にダブルブッキングさせて、引越し業者を競わせる人がいますが、値引き以外の明確な理由がない限りダブルブッキングは避けたほうがよいです。
他社と同時に見積もりを取ると、家財チェックの際にしっかりと自分の意志が伝えられなかったり、営業が一切値引きしてくれずに見積書だけ置いて帰るなど、いいことが一つもありません。
親身になってくれる営業かどうか確認することはできますが、できる営業はダブルブッキングしなくても親身になってくれます。
大抵の見積もりは1時間程度の時間を要します。そのため、余裕をもって1時間30分間隔で見積もりを取ることをおすすめします。
1社ごとに評価を書いていたお客様の例
あるお客様と契約した際「引越し業者ごとの対応リスト」を作成していると聞き、それを見せていただきました。内容は以下のようなものです。
A社 | B社 | C社 | D社 | |
電話対応 | 良い | 悪い | 怖い | 良い |
到着時間 | 時間通り | 30分遅刻 | 15分遅刻 | 1時間早い |
営業の対応 | 良い | 早口 | 怖い | 悪い |
作業内容 | 良い | 怪しい | 怪しい | 説明無し |
梱包 | 有料 | 無料 | 一部無料 | 説明無し |
見積もり | 150,000円 | 200,000円 | 120,000円 | 100,000円 |
アフター | 保険あり | 保険あり | 説明無し | 説明無し |
契約 | ◯ | - | - | - |
「評価を付けないと値段だけで判断してしまいがちなんだよ」と、そのお客様が話されていました。
引越し見積もりサイトを利用して何社も見積もりを取っていると、ほとんどのお客様が内容・サービスは二の次で、値段が安いだけの会社に任せることが多くなります。
このリストは、引越し見積もりサイトを使って相見積もりを取るときに非常に便利です。記入内容はあなたの気になる点へと置き換えれば、どんな引越しにも使えます。このお客様にとっては、多少値段が高くても営業の対応の良さとアフターフォローの有無が決めてだったようです。その結果A社を選びました。
契約してはいけない引越し業者
約束時間よりも「早く」来る引越し業者
「遅刻をしない」というのは当然ですが、あまりに早く来られるのもまた困りものです。こうした引越し業者の意図は、先程解説したダブルブッキングを狙っている可能性や、客が相見積もりを取ろうとしていることを分かっている業者です。
これは私自身が引越しをしたときの経験です。朝11時に訪問見積もりの約束をして、1時間早い10時に引越し業者はやってきました。「前の見積もりが早く終わったので早く着いてしまいました。」などと話していましたが、おそらく仕事がないから早く着いたか、比較されると負けることを知っている(即決狙い)業者でしょう。もちろん相手は私が引越しの営業マンであることなど知りません。早く来た段階で「お帰り下さい」と門前払いをしました。
「お願い営業」をする引越し業者
「うちで契約して下さい!お願いします!」
と言ってその場を離れない営業は、自分のノルマ・成績が優先となっており、あなたの引越しを第一に考えることができていません。引越しとは関係のない身内の話や、自分がどれだけかわいそうか話したがるお涙頂戴営業マンもダメ。実際に引越し作業をするのはその営業担当ではありません。提供できるサービスや、その引越しにかかる正当な価格ついてしっかり話せる営業マン、できないものは「できない」と言える営業マンでないと危険です。
数字(契約)を取ることだけが頭にあるような営業とは契約してはいけません。
引越し見積もりサイトは使い方さえ分かれば使わない手はない
引越し見積もりサイトの最大のデメリットは、面倒なくらい電話がかかってくるという点です。言い換えると「あなたの引越しをやりたがっている引越し業者が山ほどある」ということになります。
「引越しをするときは、特定の引越し業者しか使わない」という方も、他の引越し業者の見積もりを取ると価値観が変わるときがあります。
「家財を引越し先まで運ぶという点ではどの業者も同じですが、運び方や現場作業員は引越し業者によって千差万別です。」というのは、私が営業をやっていた際によく使っていた言葉ですが事実です。
引越しを成功させる秘訣は、相見積もりによる比較です。引越し業者からの電話を受ける準備をして、まずは引越し見積もりサイトに登録しましょう。