吊り上げ作業は意外と高い
注文・建売関係なく、最近の戸建ては2階にキッチンを配置する物件が増えています。2階にキッチンがあるということは、大型家財の吊り上げ作業が発生してくることを意味します。
電気屋や家具屋などで家財を購入した場合、こちらから何も言わずとも吊り上げてくれることが多いため、引越し業者でも同じようなサービスを受けられるのではないかと思いがちですが、引越し業者では家財の吊り上げはオプション工事、つまり「有料」として認識されています。そのため、新居の状況を営業マンと一緒に確認し、新居の見取り図などを使って打ち合わせをしなければいけません。
【家財別】吊り上げ料金リスト(相場)
使用する吊り上げ業者によって多少の料金差はありますが、ある程度吊り上げ料金の相場は決まっています。さらに、「ユニック車」と呼ばれるクレーンの付いた車で運搬できるか手吊りになるかで料金に違いも出ます。
冷蔵庫
吊り上げ方法 | 料金 |
手吊り | 35,000円~ リットル数によって変動あり |
ユニック車 | 20,000円 |
2階にキッチンがあり、買い替えをおこなわないのであれば冷蔵庫は100%吊り上げ作業が必要になります。なぜなら、現場作業員がどんな努力をしても、建築法ギリギリの階段幅(芯々75cm)では家族用冷蔵庫は入らないからです。そのため、新居が建築法ギリギリの階段でかつ吊り上げができない環境では、単身用冷蔵庫×2にしなければいけないこともあるので注意しましょう。
それ以上のリットル数になると、引越し業者が斡旋している専門業者でも吊り上げられない場合が増えてきますので、冷蔵庫を買い替えるか1階に置かなければいけなくなってしまいます。
ピアノ
アップライトピアノ
吊り上げ方法 | 料金 |
手吊り | 25,000円 |
ユニック車 | 20,000円 |
グランドピアノ
吊り上げ方法 | 料金 |
手吊り | 不明(対応業者が少ない) |
ユニック車 | 35,000円 |
ピアノの吊り工事は吊り上げ後に調律をおこなわなければいけないため、冷蔵庫に比べて作業に時間がかかります。さらに、専門業者によっては「階段を1段上がるごとに〇円」などのルールを設けている業者もあるため、見積もりを取る際には新居の状況を詳しく説明するようにしましょう。
余談ですが、私が見積もりを取っていたとき、グランドピアノを2階に置きたいという人は少なかった印象があります。
木製家具
分解できる家財が多く、そもそも分解しなくても階段を通るか家財が多いということから、木製家財で吊り上げ作業が必要になることはほとんどありませんでした。もちろん吊らなければいけないときも出てきますが、大抵は引越し業者の現場作業員が無料でやってくれることが多いです。
ただし、洋服の入った箪笥を吊る場合は注意が必要です。近年の引越し業者では、箪笥の中身が洋服であれば中身を出さずに搬出入してくれることが多いのですが、箪笥を吊り上げる際には「洋服を全部抜いてください。」と言われるため、あらかじめ洋服は抜いておきましょう。また、桐でできた箪笥は吊ると跡が着くため、2階へは階段を通すしか搬入方法がありません。
IKEA家具
IKEAの家具は引越し自体に向いていないということから、吊り上げどころか運搬自体を断られることがあるという点に注意しましょう。
IKEAの大型家具は運ぶ際に分解の必要があるものが多いのですが、その分解作業は引越し作業員でもできないことが多いため、分解するにはIKEA家具を分解する専門業者に頼むしかありません。分解業者の手配について引越し業者が斡旋してくれることはとても少なく、基本的に自己手配となります。
さらに、鉄やアルミサッシなどで出来た大きい食器棚の分解費用は、IKEAが斡旋してくれる業者に任せれば30,000~50,000円程度、組み立てることを一切考えずにただ壊すように分解する個人業者に任せても10,000円程度と高く、買い替えた方が安いケースがとても多いです。
「運搬中に壊れてもIKEA製家具は保証しなくてもよい」と承諾をすれば引越し業者に運んでもらうことができますが、無理な吊り上げや搬出入によって家屋そのものが壊れそうだと判断された場合は、搬出入を中止されることになるため、覚悟しておきましょう。
引越し営業マン独自のコネがあると激安で吊り上げられることも
吊り上げにかかる料金の相場や実態は以上になりますが、これはあくまで「相場」であるため、地域によって料金が変わってくることもあります。特に、ベテラン営業マンの中には独自のコネを持っている人もおり、繰り返し使うことによる「お得意様割引き」で吊り上げができることがあるため、コネを持っている営業マンが見積もりに来た場合はラッキーと言えるでしょう。
しかし、ピアノの吊り上げに関しては、現在の自宅に搬入したときに利用した業者を利用した方が、搬入したというノウハウがあるため、より安心できると言えます。
そして、吊り上げ業者やその他諸々の付帯工事について、すべての営業マンが独自のコネを持っているわけではありません。むしろコネを持っている営業マンの方が圧倒的に少数であると言えるため、そういった営業マンに出会うためには複数の引越し業者から見積もりを取る必要があると言えます。
吊り上げ料金を安くするためにもそうですが、それ以外の値引き交渉のためにも相見積もりは必須となります。引越し業者指定の業者に任せれば吊り上げ料金自体を値下げしてくれることはありません。付帯作業にも値引き幅がある営業マンと出会うためにも相見積もりは取りましょう。