自転車は運びにくい
引越しの見積もりの際、運ぶ家財を営業マンへ伝えるときに、自転車について申告が漏れてしまうという事例が頻繁に起こります(家の外にあるため)。そして客自身その事の大きさに気付いておらず、「自転車の1台や2台くらい持っていってもらえるだろう」と安易に考えてしまいがちです。
しかし、自転車が原因でトラックを1台増やすか増やさないか、つまり引越し料金が追加でかかってしまうかどうかの話になることは意外と多いのです。自転車はとても不安定で、かつ空間を生みやすく、ある意味冷蔵庫よりも大きな家財を運んでいると言っても過言ではありません。
そのため、自転車の所持数が多い家族の引越しについての見積もりを取るときは、絶対に営業マンと自転車の運搬方法について話し合った方がよいでしょう。
自転車を新居に持っていく際の注意点
まず最初に、現住所から新居までの距離が大して離れておらず、自転車でも行ける距離であれば、引越し業者に任せるよりも自分たちの移動手段として使った方がお得です。
自転車の数が多ければ多いほど、トラックのコンテナを圧迫することになり、場合によっては「自転車のためだけに」トラックを余分に用意しなければならない状況も多々あります。
もし、家財量が多くてトラックが複数台必要になると言われた場合、自転車を運ぶ必要がなくなったらトラックが減るかどうかを確認してもらいましょう。「自転車によって」トラックが1台から2台に変わるのであれば、当然それを検討する必要があります。変わらないのであればそれに甘えて運搬してもらう方がお得です。
移動距離が微妙な場合「ピストン作業」を依頼するなど方法もありますが、あまりおすすめはできません。
自転車の鍵は抜いておく
引越し業者に自転車の運搬を任せる場合、わざわざ鍵を刺しっぱなしにしてくれる方がいらっしゃいますが、その必要はありません。確かに自転車の鍵が刺さっていない状況では運搬作業が大変になりますが、引越しの現場作業員は物を運ぶプロであるため、鍵が刺さっていない程度で苦労することはありません。
また、トラックのコンテナ内で偶然自転車の鍵が外れ、鍵がない状態で搬出されてしまえばあなたが新居で困ることになります。後からトラックのコンテナ内を探せば出てくるかもしれませんが、引越し業者のトラックは家財の出し入れが激しく、自転車の鍵のような小さな紛失物が見つかることはまずありません。そうなれば紛失事故として責任を問われてしまうため、現場作業員も困ってしまいます。
そのため、引越し業者に自転車を運んでもらう場合、鍵は抜いた状態で運んでもらうようにしましょう。
コンテナに余裕があってもスポーツ自転車は自分で乗っていく方がよい
新居までの距離が近く、所持している自転車がロードレーサーのようなスポーツ自転車である場合は、トラックのコンテナに余裕があっても自分で新居まで乗って運んでいくべきです。
なぜなら、引越し業者はスポーツ自転車もママチャリも同じように取り扱いをするからです(現場作業員は物の価値がわからない)。以前と比べ引越し業者でも「スポーツ自転車が高価である」と認知されてはきているものの、運搬時の取扱いについて変わった印象はありません。
また、コンテナに余裕がない状態で自転車の運搬を任せようものなら、自転車はコンテナ内に収容するのではなく、コンテナの屋上にゴム紐で括りつけて運ばれる危険性すらあります。そのため、スポーツ自転車はできるだけ自分で新居まで乗って持っていくのがベストであり、新居までの距離的に引越し業者に任せないと厳しい場合は「この自転車はとても大事にしているものなので、丁寧に運んでください。」と現場作業員に一言伝えてから運んでもらうようにしましょう。
この場合トラックが追加になる可能性は大いに考えられますが(追加料金は免れませんが)、安全に運ぶためには致し方ないことです。
自転車を処分する場合
現在乗っている自転車が古く「そろそろ買い替え時かな?」と考えているのであれば、現住所で処分・リサイクルしてしまうことをおすすめします。
ひと昔前であれば、引越し業者に自転車を処分してもらうこともできたのですが、現在では家電リサイクル法で指定された家電以外の家財を引き取ってくれる引越し業者は少なくなったため、自分で自転車を処理する必要があります。
自治体で処分してもらう
お住いの粗大ごみ処理施設に持っていき(あるいは引き取りに来てもらい)、処分する方法です。費用としては、10キロあたり300円程度(各自治体によって異なります)、300~1000円で手放すことができます。ただし、電動自転車などでモーターが付属しているものは処分してもらえません。
サイクルショップで処分してもらう
自転車を処分するには防犯登録を抹消する必要がありますが、近くのサイクルショップに行けば防犯登録の抹消と共に処分までおこなってくれます。自転車を処分するためにサイクルショップに行くときは、自転車防犯登録カードと身分証明書、防犯登録抹消代と処分費用を払う必要があります。
しかし販売・分解などを前提に引き取ってくれるサイクルショップが多いため、多くのところで無料で対応してくれます。
リサイクルショップに買い取ってもらう
まだ購入して間もない自転車を処分したいという場合は、リサイクルショップに売ってしまうという手もありです。リサイクルショップに自転車の売却を申し出れば、リサイクルショップ側が自宅まで来て査定をしてくれるためとても楽です。
しかしリサイクルショップの中には、自転車を買い取ってくれなくても査定出張費として代金を請求してくる業者もあるため注意が必要です。また、リサイクルショップに自転車を買い取ってもらう場合にも防犯登録は末梢しておく必要があるため、サイクルショップや自治体の定める防犯登録を抹消できる役所へ行って防犯登録を抹消してから買い取ってもらうようにしましょう。
ヤフオクやメルカリなどを利用し自分で売る
今やインターネットを利用すれば何でも自分で売れる時代。自転車も例外ではありません。
特に自転車はそれ単体としてはもちろん、パーツごとに販売することもできるため、引越しまでに時間があれば自分で売ってしまうというのも賢い手段です。高価な自転車であれば、もしかしたら引越し料金を上回る額で販売できる可能性があります。
ちなみにリサイクルショップで買い取ってもらう場合、自分で売った場合の1/10程度の額になってしまいます。手放す前提で時間がかかってもよいのであれば、まず自分で売る手段を考えてみましょう。
友人や知人に譲る
乗りたいという方に譲る方法です。自転車も喜ぶことでしょう。
自転車を運ぶためだけに別便を頼む必要はない
自転車を引越し業者以外で運ぶ方法として、各運送業者が用意している自転車専門の運搬サービスというものがありますが、わざわざ自転車のためだけにこのサービスを頼む必要はありません。
確かに自転車専門の運搬サービスに頼んで自転車を運んでもらうと、自転車の移送に加えて分解・梱包・組み立てのすべてをやってもらうことはできますが、費用としては15,000円~20,000円程度かかってしまいます。
新居までの距離が遠くなればまだ使う価値があるとも言えますが、わざわざ自転車の移送のために20,000円を支払うのであれば、引越し業者のトラックに余裕を持たせた状態で20,000円値引きする方がよっぽど建設的です。さらに言えば、見積もりの取り方さえ間違えなければ20,000円以上の値引きも難しいことではありません。
そのため、自転車を自分で乗っていかずに業者に持っていってもらいたいときは、専門便で任せるのではなく引越し業者に任せるようにして、破損が不安な場合は事前に「気を付けて取り扱ってください」と伝えておくのがよいと言えるでしょう。