ピストン作業にするメリット
現住所から新居までの距離が5km以内であり、トラック1台には積み切らない程度の家財量である場合、引越しの営業マンから「ピストン作業」を提案されることがあります。この「ピストン作業」とは、複数のトラックを使って1度に新居へ持っていくのではなく、1台のトラックで現住所と新居を往復しながら運ぶ作業のことです。
従って、引越し料金の多くを占めるトラック料金を下げられるため、値引きの材料として働くメリットがあります。
引越しの値引き交渉の材料として使える
ピストン作業をするということは、単純に使用するトラックや作業人数を減らすということになるため、その分引越し料金を値引きしてもらうことができます。しかし、ピストン作業にすれば100%値引きしてもらえるとは限りません。
繁忙期や土日などの作業件数が多い日であれば、1件に使用するトラックをできるだけ減らしたいため「ピストン作業でもいい」と言うだけで簡単に値引きしてもらえますが、閑散期や平日など作業件数の少ない日であれば、わざわざ往復作業にするメリットがないため、値引きに応じてくれません。
また、料金提示の前にこちらから「ピストン作業にすると引越し料金が安くなると聞きました」と言ってしまうと、営業マンから「トラックが1台であろうが2台であろうが運ぶ家財の量は変わらないのに料金は下げられません。」と言われてしまう可能性もあります。
ピストン作業による値引きを狙うのであれば、まず最初は「すべての家財を1回で運び切りたい」とピストン作業はしたくないように偽ることが大事です。その後、1回で運び切る引越しプランで料金が算出された後に、もう少し値段を下げる方法はないか聞けば、営業マンから「ピストン作業にすれば〇〇万まで下げられるんですが…」と打診されるはずです。
多少家財が増えても対応してくれる
トラックを複数台手配して1回で新居まで持っていくプランで契約した場合、トラックに積み切らなかった家財は追加料金を払わないと持っていってもらえないことが多いです。しかし、ピストン作業で契約した場合は1台で「往復する」ことが前提であるため、多少家財が増えても対応してもらえる場合があります。
そうは言っても、営業マンに「この家財は運ばない」と申告をしながら、引越し日当日になって「やっぱり持っていく」と寝返る方法は、営業マンから見積もり時の申告について問いただされる可能性があるため、あまりおすすめはできません。
ピストン作業にするデメリット
作業時間が長くなる
トラックや現場作業員の数を減らすということは、それだけ引越しに時間がかかるということを意味します。私の経験では、同規模の引越しをおこなう場合、ピストン作業とそうでない場合では約2時間程度の差が出ました。
自分たちも立ち会いのために往復する必要がある
引越しでは物損や家財の傷確認をしてもらうため、搬出・搬入関係なく引越しの作業には顧客の立ち会いが必要になります。1回で家財を積み切ってしまう場合はそのまま新居に向かうだけでよいのですが、ピストン作業の場合はもう一度引越し前の住所に戻って積み込みの立ち会いをしなければいけません。
引越し業者に立ち会える人が2人以上いれば、現住所と新居に分かれて立ち会うことで移動する面倒を減らすことができるため、ピストン作業を希望する場合は自分以外に立ち会い人が用意できる日を選ぶようにしましょう。
引越しに時間をかけられるならピストン作業はアリ
引越しに時間をかけてもよいという場合は、トラックを複数台使って1回で運び切るよりもピストン作業でおこなった方がお得と言えるでしょう。
もちろん、ピストン作業に変更すれば100%値引きしてくれるかどうかは分かりませんが、引越し業者によってもトラックの空き具合は変わってくるため、1社目に断られても2社に交渉してみる価値はあります。
そのため、新居と現住所が近い場合は、相見積もりとピストン作業を武器にしながら値引き交渉を進めていくと、お得に引越しをすることができるでしょう。