引越しは「エレベーターがないから」と言うだけで値上がりしない!
一人暮らしや家賃ベースで新居を選ぶ場合、自然と「エレベーター無し物件」が候補に挙がるでしょう。エレベーター無しの物件は家賃が安くなりやすい傾向にありますが、エレベーターありのときに比べて引越し料金は上がってしまうのではないかという心配も生まれてきます。
家財を持って階段を昇り降りする引越しの現場作業員は、エレベーターがある物件に比べると非常につらいでしょうから、普通に考えれば料金が高くなって当然だと考えます。
実際に、引越しの営業マンは見積もり金額を提示する前に必ず「エレベーターの有無」について質問しますが、何も知らない状況であれば「エレベーターがないと、引越し料金が高くなるから聞いているのだろう」と営業マンにこちらから相談してしまうこともあります。
しかし、営業マンがエレベーターの有無を聞いてくるのは、まさにその質問をあなたから引き出したいからであり、トラップです。
営業マンの誘い文句に気を付ける
引越し業者の見積もりシステムには「階段作業だから割り増し」という項目はありません。それでも営業マンが見積もり金額を提示する前にエレベーターの有無を質問してくるのは、顧客の無知を利用して一円でも高く引越し作業を契約するためです。
引越しの営業マンの給与査定は、売り上げによる評価が多数を占めているため、営業マンからすれば一円でも高く引越しを契約したいのです。その状況の中で、もしあなたがこのように相手の誘いに乗ってしまえば、まさに思惑通りということになってしまうのです。
どんな営業マンでもそうですが、最初から値段が高いと思っている人に、わざわざ限界ギリギリまで値引きをするということはありません。そういう人に対しては、「本当はめちゃくちゃ高いのですが、誠意を見せるためにできる限りの値引きをします。」と言って値引きパフォーマンスを見せて落とすのが常套手段です。
さらに、エレベーターの有無は営業マンからすれば、出し値を高くするための文句として使えるだけではなく、値引き交渉を渋るための文句としても使えます。
こちらが値引き交渉時に「引越し料金が高すぎる!」と営業マンに言っても、「新居にエレベーターがないと現場作業員も大変で、時間もかかりますから高くなるんですよ。」と返されてしまいます。
こちらも、エレベーターの有無が料金に関係ないということを知らなければ、「この人の言っていることは正しい」と何だか納得してしまいます。ですからもし引越しの営業マンからエレベーターの有無を聞かれたら次のような対応を取りましょう。
このように営業マンは動揺を隠せなくなり、エレベーターありの見積もりと同じように見積もりを進められるようになります。相見積もりを取っていなければ、「親から聞いたことがある」「以前引越しした際も金額が変わらなかった」と、決して怯まず堂々と対応すればよいでしょう。
エレベーターの有無は引越し料金と無関係だが現場作業員は本当に大変!
エレベーター無しの物件への引越しは、こちらから高そうだという意思表示を見せなければ、普段の見積もりと変わりません。しかし、引越し料金が変わらないとはいえども、実際に作業する作業員は普段よりも大変な思いをすることも事実です。
エレベーターがある場合、重たい家財などは台車に乗せて簡単に上げることができますが、エレベーターがない場合は人力で階段を登って部屋まで上げる必要があります。引越し作業が終わった後はプロと言えども腕がパンパンになってしまいます。
実は、現場作業員の給与査定も自分が回った引越しの料金ベースで計算をされているため、安い引越しより高い引越しに行きたいというのが本音なのです。
そのため、元引越し営業マンである私の意見としては、「階段作業は作業員にとっても大変だから、できるだけ口添えをしてほしい」というところもあるのですが、お金を払うあなた本人としては、一円でも安くしたいところでしょう。
であれば、もしエレベーター無しの引越しを激安料金で契約できた場合、現場作業員に飲み物やチップなどの差し入れをしてあげて、心の底からお礼を言ってあげてください。チップをあげなかったとしても、心のこもったお礼があれば、現場作業員は「頑張ってよかった」と思うはずです。