不動産紹介による値引き、クレジットカードの値引き、チラシ等による値引き…。引越しには数々の「値引き」と称したものがありますが全て客寄せ目的のものです。そもそも定価がない引越しに対して「どこから値引きする」とはどこにも書いていませんし、「出し値は必ずボッタクリ」というのはお決まりなので、福利厚生値引きを使っても、交渉して値引きしても、実は料金は全く変わらないのです。
それを明らかにするには「相見積もり」によって各社競わせて料金を提示させた方が間違いなく安くなります。福利厚生値引きを使って一社のみに見積もりを頼むことは「どうぞボッタクって下さい」と言っているようなものなのです。
福利厚生の引越し料金値引きプランはお得なの?
お勤めの企業でカフェテリアプランなどが採用されている場合、引越しの見積もりをサポートしてくれるようなサービスも用意されています。例えば、ベネフィット・ステーションで用意されている「らくらく引越し窓口」で見積もりをお願いすると、引越し料金の10%~20%の値引きをしてもらえる仕組みになっています。
非常にお得なように見えるこのサービスですが、必ずしもお得に引越しできるとは限らないため、油断してはいけません。
引越しのオプション料や工事料金は値引き対象外
引越し料金を大幅に値引きしてもらえるというのなら、様々なオプションを付けたくなりますが、ベネフィットの値引き対象はあくまで「引越基本料金」であり、オプションや付帯工事の料金は対象外です。引越基本料金とは簡単に言うと運送料のことを言います。
見積もり事例
引越しの営業マンは引越し料金を好き勝手にいじることができる
実は、ベネフィットの割引はさして信用ができません。というのも、ベネフィット経由だろうとインターネット経由であろうと、見積もりに来た営業マンは最初から値引きをするつもりで来ていますし、本来の引越し料金と変わらない料金になるように引越し料金をいじっています。
確かに運送料や付帯工事の料金は一定ですが、見積書をよく確認すると保険料や家具梱包料といった、そんなに費用がかからないような項目で料金を取られている場合が多いのです。
例えば「家具梱包代」として合計80,000円で合った場合、実は営業マンは家具梱包代の合計を20,000円にすることもできれば、200,000円にすることもできます。保険料や家具梱包代が引越基本料金に当てはまらない以上、引越し業者としてはここを値引きする必要はないと言えます。そのため、図のように総合的に見れば大した値引きになっていないといったことも多いのです。
極端な話をすると、ベネフィットを利用するということは、引越し業者から「“ベネフィットで決められた分は割引きしてる”のだから、引越し料金に文句言わないでくださいね。」と言われているようなものであり、ベネフィットだけに頼って値引き交渉を進めると不利な状況を引き起こしやすいのです。
福利厚生サービスは値引き交渉の1つとして使う
ベネフィットを利用すれば値引きは確かにしてもらえますが、お得に引越しできるとは限りません。引越し料金の「2割」と聞くと、大幅の値引きをしてもらっていると思ってしまいますが、ベネフィットを利用していなくても20%程度の値引きは誰でも簡単にできます。
不動産からの紹介やスーパーのパンフレットの値引きであっても変わりません。これらを利用して引越し業者が伝えたいことは「少なくても1回は値引きしますよ」ということだけだからです。
引越しの値引き交渉に関しては、「チラシに〇〇%値引きすると書いてある」よりも「他社は〇〇万円だ」と突き付けた方が営業マンには効果があります。さらに、他社がベネフィットに登録されていない引越し業者だった場合、ベネフィット経由である以上さらに値引きをしなければ営業マンは体裁を保てません。
そのため時間に余裕がある場合は、ベネフィット経由の見積もりと、引越し見積もりサイト経由の相見積もり、両方取得するとよいでしょう。
そして引越し見積もりサイトとベネフィットを併用する際は、ベネフィット経由の引越し業者の見積もりを、引越し見積もりサイトから取らないようにします。とはいってもこちらから連絡してくる引越し業者は選べないため、事前にベネフィット経由で予約をしておいて、予約した引越し業者から引越し見積もりサイト経由で電話がかかってきたら「ベネフィット経由ですでに申し込んでいます。」と伝えるようにしましょう。